【北京モーターショー14】中国でアテンザ 3世代併売中、その理由は?…マツダ中国副社長に聞く

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マツダ6(初代)
  • マツダ6(初代)
  • マツダ(中国)企業管理有限公司の取締役副社長・広報担当の及川尚人氏
  • マツダ6アテンザ
  • 一汽マツダのウェブサイトでもラインナップに3世代のアテンザがカタログとして掲載されている
  • 一汽マツダのウェブサイトでもラインナップに3世代のアテンザがカタログとして掲載されている
  • マツダ3
  • マツダ6
  • CX-7
北京モーターショーのマツダブースには初代『アテンザ』が飾られている。ブランドの伝統をアピールするために過去のモデルを振り返るための展示モデル、ではない。れっきとした新車で、今もって生産が続けられており購入が可能な現役車だ。なお中国では、初代だけでなく旧型となった2代目も新車で購入できる。3代目となる最新モデルが登場したにもかかわらず、旧旧型まで併売する理由はどこにあるのだろうか。

◆信頼を得たものは旧型でも長く売れ続ける中国

北京モーターショー2014において、マツダの中国法人であるマツダ(中国)企業管理有限公司の取締役副社長・広報担当の及川尚人氏に、中国におけるマツダの現況を聞くことができた。

「マツダは中国で2つのディストリビューターを持っています。ひとつめが一汽マツダで一汽グループとの合弁です。そして二つめが長安マツダで、長安汽車との合弁です。それぞれのディストリビューターの下にディーラーがあります。今、中国には435店舗ありますが、そのうち200店舗が長安マツダ、残りの235店舗が一汽マツダです。マツダの大きな戦略としては、二つのパートナーをバランスよく成長させ、ビジネスを発展させていこうというものです」と及川氏は、現状のマツダの販売体制を説明する。

取扱車種は、長安マツダが『マツダ2』(日本名『デミオ』)、『マツダ3』(『アクセラ』)、そして『CX-5』を扱う。一方、一汽マツダは『マツダ6』(『アテンザ』)、『マツダ8』(『MPV』)、『マツダ5』(『プレマシー』)、『CX-9』、そして日本から輸入する『MX-5』(『ロードスター』)だ。

ここで面白いのは、マツダ3とマツダ6は、最新型だけでなく旧型も併売されていることだ。

「中国の人は、良いものは長く愛します。良いものとしての信頼を勝ち取ると、本当にずっと信じてくれる。“このクルマは絶対にいいんだ!”と。新型にすぐ飛びつくことはありません。何を信じるかというと口コミです。“このクルマはいいよ”って我々が言っても、お客さんは信じませんが、たとえば親戚の人が“あれはいいぞ”とか友達が“いいよ”と言うと、ものすごく信じてくれます。そのため口コミが伝わるまで、少しタイムラグがあるんですよ」と及川氏。

良いモノは、古い型でも良い。中国市場は旧型に対してネガティブなイメージを抱かないというのだ。実際に2003年に中国で発売を開始した初代のマツダ6(アテンザ)は、現地中国でカー・オブ・ザイヤーを獲得するなど、高い信頼を得ることに成功。マツダ6(アテンザ)の「馬6」という中国での通称は、「マツダ」のブランド名よりも知名度が高いほどだという。2013年度でもマツダ6は9万4000台を販売した。

そこで、マツダは新型導入に対して、むやみに旧型を廃止することはせずに、併売というスタイルを取った。そのため、この春から最新型を導入するマツダ6においては、初代マツダ6、第2世代『マツダ6ルイイー』、第3世代『マツダ6アテンザ』という3世代併売が実施される。ただし、マツダ3「アクセラ」に関しては、初代が廃止となり、第2世代と第3世代の併売になるという。


◆現在のトレンドはSUVにシフトしている

これまで中国市場で不動の人気車種といえば4ドアのセダンであった。街を走るクルマを見ても、ほとんどがセダンばかりだ。しかし、その中で最近、目立って販売を伸ばしているのがSUVだ。昨年度は、50%にも迫るような伸び率をもってSUVがDセグメントセダンを追い抜き、Cセグメントセダンに次ぐ、売れ筋に成長している。その時流にマツダのCX-5は乗ったかたちになり、販売は非常に好調な状況だという。

「中国はSUVが伸びていますので、SUVのラインナップを強めたい。そこで、CX-5、CX-7、CX-9の3つでSUVのニーズに応えていきたいと考えています。CX-7は以前、日本からの輸入車として大人気でした。輸入車なので、台数は限られていますがデザインなどは好評でした。ですから、今回、CX-7の4WDターボ・モデルの導入を発表しています。中国の方は、4WDを必要とする人も多いですし、ターボも好きです。なので、我々はCX-7導入に非常に自信を持っています」


◆中国でもグローバルと同様の戦略で戦う

「当社はスモールプレイヤーの強みを活かしたい。それが何かといえば、『本当にクルマが好きな方に買ってもらえるブランド』になることです。それは日本でも中国でも同じ考えです。中国市場は特殊ですが、それでもクルマ好きは存在します。またマツダ・ファンもいます。そういうお客様を大切にして、どんどんファンを増やしていきたい」と及川氏。

グローバル戦略と歩調を合わせて中国を攻略しようというマツダは、他メーカーのように中国専門モデルを投入する予定はないという。

「われわれ中国法人は中国市場にも適したクルマづくりをやってくださいと、かなり本社側に要求しています。そして、それに本社側も応えてくれていて、たとえば、今回の新型アテンザはホイールベースが長いですよね。ワゴンよりもセダンが長い。それは中国市場とアメリカ市場にとってみれば、非常に嬉しいことです」と、マツダのクルマ作りのスタート時点で、中国事情は組み込まれているという。また、Zoom-Zoomな走りはキープしつつ、中国向けに足回りやシフトマップなどの細かなチューニングも行われているという。

「マツダで2013年に一番クルマを売っているのはアメリカです。2番目が日本。そして3番が中国です。何年か前は、中国がトップになったときもありました。そういう意味で、中国市場を無視できません。中国市場を大切にするのは当たり前の話です」とその理由を説明する。

ちなみにハイブリッドの中国投入は「市場動向を見ながら考えたい」とのこと。

「今後は、商品ラインナップの強化、販売網の強化、カスタマーサービスの強化、そしてブランドの強化を実施していきます。販売網の強化に関しては、むやみに販売店を増やすつもりはありません。メーカーとディーラーの両方がきちんと利益を出していくからビジネスが成り立っています。作れる数が決まっている、売る体力も決まっている。水の量が同じなのに、蛇口が増えたら、水の出が細くなります。それだけディーラーが困るということ。だから、我々の販売目標を達成する上で、適正な販売店数をきちんと試算して強化していこうというのが考え方です。そしてブランド強化については、広報・宣伝においてマツダとはどういう会社なのかを伝えていきたい。今回のショーで787Bを展示したのは、『マツダのあくなき挑戦』という企業ポリシーをきちんと分かってほしいからです。マツダは18年間、ルマンに挑戦し続けて、総合優勝しました。スカイアクティブも挑戦をし続けた結果、高圧縮比14を達成できたわけです。マツダに脈々と流れるあくなき挑戦魂をきちんと分かってもらいたい。それが大切だと考えています」

そんな中国マツダの2014年の販売目標は、前年比17.8%増の22万台だ。中国の経済成長の伸びに陰りが見える中では、かなり強気の目標と言えるだろう。

「中国の経済成長はどうなるか分かりませんが、クルマに関して言えば、まだまだ需要がありますよ。クルマを持っていない人が多いですし、その人たちの中にクルマが欲しいと思う人がたくさんいます。そういう意味でクルマに関するニーズはまだまだあります。クルマに関していえば、まだまだ伸びていくと思いますよ」と及川氏は、中国の自動車マーケットの力強さを語った。
《鈴木ケンイチ》

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