ホンダは東京・お台場の東京ビッグサイトで開催中の「第5回国際自動車通信技術展」において、超小型モビリティ「MC-β」で使う車載情報端末を初公開した。端末自体は市販されている7型Androidタブレット端末に、ホンダが開発したアプリを実装したものだ。
このアプリ最大のウリは、複数のアプリを同時に表示させられ、一般的なカーナビと同様、カーナビ機能を表示中にカーオーディオ機能の操作も行えるようにしたことだ。通常、Android端末は、アプリ画面内で他のアプリを操作することはできず、使用中の画面を一旦閉じなければならない。しかし、このアプリでは、カーナビ表示中に右から左にスワイプするだけで、カーオーディオ機能の操作パネルが画面右側に表示できるのだ。出展された端末では、インターネットラジオ「TuneIn」を再生していたが、音楽再生のON/OFFやお気に入りの登録などの操作ができていた。
このアプリには、走行中であるかどうかをGPS受信によって認識でき、走行中は安全へ配慮して機能制限できる仕掛けも組み込む。先のカーオーディオ操作パネルは走行中のもので、停止中であればワンタッチで画面いっぱいに表示してより詳細な操作が行えるようになる。また、走行中は他のアプリへの切り替えも行えないが、これも安全運転につながるような操作環境を実現した結果だ。
このアプリでは専用のカーナビアプリもインストールされていた。デモでは、「MC-β」の実証実験を行っているさいたま市でシミュレーションする形で行われたが、「MC-β」が実証実験で許可されているエリア内を逸脱しそうになると警告が発せられる。また、交通事故多発地点や急ブレーキ多発地点などをガイドするほか、制限速度への対応も可能としていた。カーナビ起動中も走行状態を認識し、たとえば、走行中なら目的地設定などの操作は受け付けられないようになる。
その他、このアプリには「MC-β」の使い方を見るクイックマニュアルも備えられていたが、これも走行中でないことが認識されたときのみ表示できる。
説明員によると、「EVであるMC-βであることを前提にこのアプリは開発されている。今後は走行可能なエリアを地図上に表示したり、カーナビのデータに設定されている走行条件で走行を行ってみるなど、多彩な展開プランが想定できる。安全を最優先したMC-βの活用方法も提案できると思う」とも話していた。