【ベントレー コンチネンタルGT V8 試乗】クルマ界のグルメに愛されるモデル…中村孝仁

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ベントレー コンチネンタルGT V8
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クルマは元来、移動の手段として用いる乗り物だ。だから、たとえそのクルマの値段が200万円だろうが400万円だろうが、それなりに法規を遵守して走らせている限り到着時間に差はない。

この金額の差は、その移動にかかる時間を如何に充実して過ごせるかという点にかかる。これは食事にも似る。美食家は値段にとらわれず、美味しいものを追求し、そして満足を得る。『ベントレー』はまさにそんなクルマ。まさにクルマ界のグルメに愛されるモデルなのである。元々そのエンジンはW12気筒だったが、新たにV8エンジン搭載車が一昨年からラインナップされた。勿論6リットルツインターボW12から比べたら、4リットルツインターボV8はアンダーパワー。しかしそうはいっても507psに何の不満があるだろうか。そして今回はそのV8に乗ってみた。

冒頭で述べた通り、東京の街中で507psのクルマを走らせるのはある意味ストレスがたまる。勿論瞬間的に全開をくれてやることはできるものの、その後が何となく空しい。しかし、信号待ちのたびに、美しく磨き上げられたインパネを眺めたり、ブライトリングの時計を眺めたり、飽きることはない。インパネは時計のギョーシェ彫りとまではいかないが、ドリルスピン模様の美しいアルミで仕上げられたもの。ベンチレーターの開閉も横に付くノブを前後に押したり引いたりして行う。その動きのスムーズなこと。重くもなく、かといって軽くもなく、絶妙という言葉が当て嵌まる。ドライバーが手に触れるものすべてがこうした感触を大切にする繊細さで作られている。

トランスミッションはクロスレシオの8速AT。外見からW12を積んでいるかV8を積んでいるかを見分けるのは容易で、V8はグリルがグロスブラックに塗られているからすぐにわかる。そしてサスペンションはコンフォートからスポーツまで4段階に任意で切り替えが可能。すべて試してみたが、スポーツは街中のスピードにはそぐわず、かといってコンフォートも少々ソフトすぎる。高速を飛ばしたり、ワインディングを高速で巡航したい時はスポーツ。一方でそのワインディングをゆったりと走りたい時はコンフォートが適し、街中はその中間が適度におさえ込まれたダンピングフォースが得られ、快適であった。僅か1時間と少々のベントレーでの東京散歩。まあ、利き酒程度の試乗時間だが、果たして利き酒をする本人にベントレーを語る資格があるのかどうか、少々疑問も残る。

パッケージング ★★★★★
インテリア居住性 ★★★★★
パワーソース ★★★★★
おすすめ度 ★★★

中村孝仁|AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来36年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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