リチウムイオン電池研究の最前線…BASF バッテリー材料研究所を訪ねる

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バッテリー材料研究所の内部
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ドイツの化学大手BASFは2月5日、兵庫県尼崎市に「バッテリー材料研究所」を開設した。開所セレモニーのあと、メディアに研究施設の一部が公開された。

同研究所の面積は約600平方mで、既存の「尼崎研究開発センター」に隣接したビルの5階・6階フロアに開設されている。そのうち新研究所の「電極ラボ」「電解液調整ラボ」「電気化学測定ラボ」「分析ラボ」の4区画を見学した。

防護グラスを装着して、「電極ラボ」に入室すると、まず目につくのは、粉末の電極材料をバインダーなどと混合するドライ・ルームという混合室だ。電極材料は化学的に活性が高く、湿度に敏感なので、密封されたドライ・ルームの中に、ゴム製の手袋を挿入して作業を行う。混合された電極材料は、パウチ型・コイン型・円筒型など電池の形状に応じて押し固められた後に、電気炉で加熱・焼成されて電極が完成する。電気炉は『BINDER』というドイツ製のものが使用されていた。

次に案内されたのは「電解液調整ラボ」。このラボでは、電解液の材料を貯蔵する大きな耐火性ボックスが目立つ。電解液の材料は引火しやすいので、火災の防止に留意されている。このラボでも作業はドライ・ルームの中で行われる。電解液は顧客の指定で緑色や青色などの着色をする必要があるので、完成した電解液の色を検査することも行われている。このラボで製造された電解液は、アルミ製の貯蔵用のボトルに封入されて出荷される。

そして「電気化学測定ラボ」では、電極や電解液の電気化学的な特性を測定する。このラボが一番沢山の測定器が並んでいる。測定器のメーカーは銘板を見ると、案外日本製が多いような印象を受けた。

最後に案内されたのは「分析ラボ」だ。このラボは、完成した電極や電解液、それらの材料の特性を分析する機器が並んでいる。このラボの出口には、「洗眼器」が設置されており、電解液が万一目に入った時には、すぐに洗眼できるようになっている。

説明してくれたスタッフによると、新研究室と既設の尼崎研究開発センターの設備は、共用することができるものが多いので、隣接して立地しているのは、実際の作業上でも使い勝手がよいという。

《山内 博》

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