【インタビュー】石油元売り4社によるEV向けサービスの拡充…スマホ用アプリもリリース

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EVSS MAP 充電器共通マップ(iOS向け)
  • EVSS MAP 充電器共通マップ(iOS向け)
  • EVSSの主催で開催されたEVセミナー
  • EVSSネットワークの担当者(左から、コスモ石油の武井宏輝氏、JX日鉱日石エネルギーの浅野元良氏、昭和シェル石油の品田祐一氏、昭和シェル石油の白井祐一氏、出光興産の大場元彦氏)

石油元売り4社(出光興産、コスモ石油、JX日鉱日石エネルギー、昭和シェル石油)が共同展開しているEVサービスステーションネットワーク(EVSSネットワーク)は、2012年10月のジャパンチャージネットワークとのEV充電会員の相互乗り入れに続き、13年12月にスマートフォンアプリの提供を開始した。事務局の担当者に今後の展開などを聞いた。

---:EVSSネットワークの設立経緯について、まずお聞かせ下さい。

EVSSネットワーク(以下EVSS):EVSSは出光興産、コスモ石油、JX日鉱日石エネルギー(ENEOS)、昭和シェル石油が共同展開するEV向け充電器を備えたガソリンスタンド(サービスステーション、以下SS)のネットワークです。全国に広がるSSは、単なるガソリンの給油場所にとどまらない価値ある社会インフラとして、時代の要請に応じて進化し続けることが求められています。

EVの普及が進めば、ガソリン車と同様に、SSでの充電やカーメンテナンス、さらには、EVユーザー向けの利便性の高いサービス提供への期待が高まると考えています。

充電のできるSSネットワークの整備は、本来は個々の石油会社による取り組みになりますが、現時点ではEVの普及に相応の時間がかかるとみられているため、石油業界共通の課題と捉え、共同で取り組むことが望ましいという結論に至りました。このような背景のもと、それまで個別に展開していたSSでの充電サービスを相互に利用できる仕組みとして、2011年度に、東京都、神奈川県を中心とした共同のネットワークを構築したのです。

---:EVSSでは実証実験を実施していますが、その手応えや収穫はどのようなものがありますか。

EVSS:これまでは、EVユーザーの利便性を高めるため、充電スポットの拡充に重点を置いてきました。EVSSでは28か所のSSに急速充電器を設置していますが、12年度からジャパンチャージネットワーク(JCN)と連携し、33か所34基のJCNの充電器も相互利用が可能になりました。これにより13年12月末時点で61か所、62基の急速充電器が利用できます。

---:JCNとの連携で利用できる充電器の数が倍増しましたが、これによる変化はありましたか。

EVSS:充電可能場所が増えたことにより、会員様のメリットは着実に高まっていると思います。SSだけではなくコンビニ、ファミレス、ショッピングモールなどでも充電できるようになりました。web上では、EVSSおよび連携しているJCNの充電器が一括で探せる共通マップを公開し、拠点アイコンを色わけすることによる、その時点での満空情報も提供しています。

---:ではユーザーにとって、EVSSを利用することのメリットはどのようなものがあるのでしょうか。

EVSS:各社のEV充電会員は、1枚のカードがあれば石油元売り4社の全てのEVSSが利用可能となります。SSでは、洗車やタイヤ交換、点検・整備など車に欠かせない日頃のメンテナンスサービスを受けることも可能です。今後は、充電サービス以外の洗車や点検、整備といった自動車関連サービスをトータルで提供する方法などを検討していきたいと考えます。その一つとして、モニターを集めて実証を行ったり、SSスタッフに対しEVの点検や整備に関する研修なども実施したりしています。

---:利用者やSSからはどのような意見や要望が寄せられているのでしょうか。

EVSS:EVSSは24時間営業も多く、営業時間中は常に明かりがついている上、スタッフも常駐しているという安心感があるといった声を聞きます。またパンクなどの困った時にもSSなら対応できるので、このような点も評価されています。SSとは異なり、無人の施設で夜間に照明がない充電器の場合、充電器の利用方法で戸惑うケースもあり、常にスタッフがおり、明るいというのはSSならでは利点です。

---:12月にリリースした専用アプリの概要についてお聞かせください。

EVSS:Android向けを12月11日に、iPhone向けは同16日にそれぞれリリースしました。現在地の周辺にある充電スポットの検索機能や、充電スポットの閲覧履歴が見られることにより、どこにいても素早く充電スポットを探しやすくなりました。

---:アプリの機能は順次追加していくということですが。

EVSS:EVSS会員様向けの機能を充実させます。具体的にはログイン機能を付けたうえで、1月下旬には、良く使うエリアや充電スポットを手軽にみることができる「マイエリア」や「マイ充電スポット」の登録・閲覧ができるようにするほか、満空情報の配信も追加します。

またお客様がより安心して運転できるよう、2月末から3月上旬には、ルート検索を行った際、周辺に充電スポットがあれば自動的に表示する「ルート周辺の充電スポット検索機能」も加える予定です。

《小松哲也》

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