国土交通省は、高速道路を利用する現金車について、消費税を通行料金に上乗せして値上げをすることを明らかにした。
割引料金をインセンティブにしてETCを普及させてきた高速道路会社では、ETC車と現金車で実質上の二重料金は当たり前になってきた。来春の消費税引き上げに伴い、ICカードと切符利用の二重運賃を始めて設定する鉄道とは大きく違う。
例えば、首都高速や阪神高速を利用する現金車は、ETC車が最低料金の500円で走行できる距離でも、現金車では900円を支払う必要がある。高速道路会社が路上アンテナで走行距離を捕らえることができないためだ。またNEXCO系高速道路の利用では、現金車は常に通常料金で割引はない。
高速道路料金のETC車と現金車の格差は大きく、消費税引き上げ分は、現金車の割高な料金に中に納めてほしいという利用者の声も聞こえる。高速道路料金を担当する国交省高速道路課は、どう考えているのか。
「(ETC車の距離別料金や割引は)車載器搭載による料金収受コストの削減などにより実現したもの。現金支払いのほうが料金が高いからといって、消費税の引き上げ分を転嫁しなくてもいい、ということにはならない」
ETC車の消費税転嫁の算出方法にも注目が集まる。
ETC車の料金計算は24捨25入。料金計算で生じた端数は、すべて50円または100円単位に揃えている。料金収受を円滑に行なう現金支払いの計算方法をそのまま受け継いでいるのだ。
電子マネー決済の特徴は、細かい計算ができることだ。鉄道のICカードでは、JR東日本が消費税引き上げ分を1円単位で転嫁することを決めた。高速道路会社は、なぜ現金と同じ計算方法にこだわっているのだろうか。消費税が引き上げられても、この算出方法は変わらないのだろうか。
国交省は、これらすべてを含めた高速道路の新たな料金体系を、年内に発表する予定だ。