モンスター田嶋「4輪独立駆動制御でEVはガソリン車にできない安全性や操作性を実現できる」

エコカー EV
TMC会長、SIM-Drive社長、APEV代表幹事 田嶋氏 デモ走行のためレーシングスーツでのインタビュー
  • TMC会長、SIM-Drive社長、APEV代表幹事 田嶋氏 デモ走行のためレーシングスーツでのインタビュー
  • SIM-86e
  • パイクスピークでEVコースレコードを出したE-RUNNER
  • TMC開発のEVプラットフォームを利用した3人乗りEV
  • 3人乗りEVの運転席
  • SIM-Driveのインホイールモーターの車両

お台場モーターフェスには、タジマモーターコーポレーションが多数のEVを展示していた。メガWEBでトークショーやデモランの準備をしていた同社の代表取締役会長 田嶋伸博氏に展示車やEVに対する取り組みなどを聞いてみた。

タジマモーターコーポレーション(TMC)は、国内外のモータースポーツ活動(主にダートラ、ラリー、ヒルクライム)で有名だが、ここ数年はパイクスピーク ヒルクライムにEVで参戦しており(2013年は9分台のクラスコースレコードで優勝)、田嶋氏は、電気自動車普及協議会(APEV)の代表幹事でもあり、SIM-Driveの代表取締役社長でもあり、EV業界でも重鎮のひとりといってよい。

----:お忙しいところお時間いただきありがとうございます。さっそくですが、まずTMCとSIM-Driveの関係について教えていただけますか。

田嶋氏:SIM-Driveには頼まれた経緯もあって社長をやっていましたが、現在SIM-Driveの株を買い取り、TMCグループのひとつといっていいでしょう。また、筆頭株主としても積極的に経営とEVの普及活動に力を入れています。EV普及についてはAPEVの活動とも共通するところで、私としては、モータースポーツなどでEVのPRをしつつ、TMCおよびSIM-Driveで面白い車両、役立つ車両を開発していきたいと思っています。

----:E-Runner(パイクスピークの競技車両)にSIM-Driveの技術などは反映されているのですか。

田嶋氏:されています。TMCは車作りについての知識や経験はありますが、EVに関しては素人同然でした。モーターやバッテリーなど電気関係はSIM-Driveの技術です。E-Runnerは、TMCのツインエンジンや4WDの技術とSIM-DriveのEV技術の融合によって実現できました。また、お台場モーターフェスで展示、デモ走行するSIM-86eはインホイールモーターではない4輪独立駆動制御のオンボード(既存車両をEV化すること)EVです。SIM-Driveはインホイールモーター車の開発を得意としていましたが、インホイールモーター車は通常シャーシからすべてスクラッチで開発することになります。オンボードEVはEV普及・技術開発・製品の幅を広げるというメリットがあります。そのためにシトロエンDS3をベースにFFのオンボードEVを開発していましたが、今回のSIM-86eでは、4WD化を実現しました。4輪独立の制御にはE-RUNNERの技術も役立っています。

----:EVでも走行性能向上のための4WD化はわかりやすいのですが、他にEVを4WDにする意味やメリットはありますか。

田嶋氏:EVの4WDはただタイヤを駆動するだけでなく、ブレーキやトルクの配分などこれまでの車にできない制御ができます。コーナーの走行性能だけでなく危険回避でもいろいろなことができます。極端な例では左右のタイヤを逆回転させれば戦車のような定置旋回(超信地旋回)が可能になりますよね。面白い例では、NTN向けに開発した今回のモーターショーでも展示している「QmoII」があります。4輪独立制御の4モーター4WDで、新しいアクティブセーフティや、かなり自由度の高い4WD+4WSシステムが実現できます。

----:最後に、TMC、SIM-DriveとしてのEV市場への今後の戦略について教えてください。

田嶋氏:現在EVの問題点は「大・重・高」にあります。サイズが大きく、重く、値段が高いので普及の妨げになっています。いちばんの問題はバッテリーです。これを小型化、軽量化、低価格化させるためには、技術革新も必要ですが、現状ではやはりコミューター的な小型ビークルがいちばんで、この市場が広がっていくと思います。TMCでは超小型モビリティの共通プラットフォームを開発しています。シャーシを共通化し、用途に合わせてボディを組み合わせることで、全体のコストダウンを図ります。狙いは国内市場だけでなく東南アジアなど海外です。

《中尾真二》

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