キドニーグリル、ランプ類を微妙に“違えて”いるのはこれまでどおり。けれど(『3シリーズ』の)セダン、ツーリングなどから独立。『4シリーズ』を名乗り、ラグジュアリー性、パーソナル性をより主張するクーペに仕立てられた。実車は、低く、幅広く、スラリとクーペらしいプロポーション。先代比+90mmというリヤトレッドと膨らんだフェンダー、キャビン後半の絞りとで、後ろ姿はダイナミックさも醸し出す。とはいえスタイリングで決して奇をてらわず、知的な存在感を漂わすところが、このクーペの特徴だろう。インテリアは基本的に『3』のそれを踏襲。前席に座ると電動のハンドオーバーが、後方からシートベルトを引き寄せてくれるのがありがたい。後席はセダンと共通の2810mmのホイールベースにより足元の余裕があり、頭上はルーフライン相応の空間。トランクは床面左右の凹凸がやや気になるが、実用に不足のないスペースが確保されている。走りはなめらかだ。「428i」が搭載する4気筒の2リットル・ツインパワーターボ(245ps/35.7kgーm)は、低速から柔軟でトップエンドまで気持ちよく回る。足まわりは低重心ながら、ストロークはしっかりあり、外側の足をジワリと沈ませ路面をなめるようなコーナリングを味わわせてくれる。4気筒ということもあり、素直で、いい意味で軽妙な挙動が楽しめる。乗り心地ももちろんスムースで、神経を逆撫でされるような粗さは感じない。■5つ星評価パッケージング:★★★★★インテリア/居住性:★★★★★パワーソース:★★★★★フットワーク:★★★★★オススメ度:★★★★★島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。