BEWITHのハイエンド入門カーオーディオを聴く…ワンランク上の音質を目指して

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BEWITH STATE MM-1Dをリモコンで操作する
  • BEWITH STATE MM-1Dをリモコンで操作する
  • BEWITH STATE MM-1D。ミラーに供給情報を表示、リモコンで操作する
  • 13cm 2Wayスピーカーシステム B-1300U
  • 13cm 2Wayスピーカーシステム B-1300U
  • トランク荷室下に設置されるアンプ群
  • トランク荷室下に設置されるアンプ群
  • BEWITH STATE MM-1D
  • Confidence II Sunrise C-130II

最高峰のフルシステムを組もうと思えば総額数百万円の予算が必要なBEWITHのカーオーディオだが、実はリーズナブルに楽しむ方法もある。

今回は敢えて最高峰システムではなく、純正スピーカーとの交換装着に対応するBE-FITシリーズのスピーカー「B-1300U」を使った2台のデモカーを用意していただいた。1台は純正デッキやAVナビを活かした手軽なスピーカー交換プラン、もう1台は「STATE MM-1D」とプロセッサー、モノラルパワーアンプを組み合わせたハイエンド入門というべきプランである。

既存のオーディオやAVナビを活かした手軽なスピーカー交換プラン

最初に聴いたのはBE-FITシリーズの13cm2ウェイスピーカー「B-1300U」をアルパインの車種専用AVナビ「BIG X EX」で駆動する、BEWITHとしては最小単位のシステムを搭載したトヨタ・ヴェルファイアである。価格はスピーカー本体(9万4500円)と、専門店によるインナーバッフル製作などを含む標準的な取り付け工賃との合計で約15万円(取り付ける車両やショップによって多少の増減あり)。取材車にはミラー型リニアPCMプレーヤーの「STATE MM-1D」も装備されていたので、それも含めれば総額は40万円を超えてしまうものの、スピーカーだけの交換なら非常にリーズナブルだ。ちなみに、このデモカーのように「STATE MM-1D」を他社製オーディオ機器と接続するためには、別売のインターフェースユニット「IF-10MM」(近日発売予定、価格未定)が必要となる。

アルファード/ヴェルファイアの純正オーディオは、フロントスピーカーが大きい(約15×23cmの楕円型ウーファー+トゥイーター)こともあって低音はけっこう出るのだが、締まりのない大味な音という印象。これに対してB-1300Uを装着した取材車の音は輪郭がクッキリと立ち、音源に一歩近づいた感じだ。偏芯コーンによる指向性制御の効果か、純正ではドアの下のほうに張り付きがちな音像もダッシュボードの上あたりまで引き上げられて心地良い。低音もボリューム感は保ったまま、見違えるほど引き締まって聞こえる。この作例で交換したスピーカーはフロントだけで、リアは純正のままだったが、コストパフォーマンスを考えればこれで充分。リアからの音をカットすれば音像が前方に定位してフォーカスの絞り込まれた音に、リアを軽く鳴らせば包み込まれるような音になる。

ところで、このシステムのようにAVナビで直接スピーカーを鳴らす場合は、AVナビ自体の調整能力も最終的な音質を大きく左右する。特に多バンドのイコライザーやタイムアライメントなどのサウンド調整機能は充実しているに越したことはなく、その点では調整機能が少ないメーカー純正よりも、今回装着されていたような市販の上級モデルのほうが圧倒的に優位だ。ただし、機器の性能をフルに活かした調整を行うにはある程度のノウハウが必要で、一般的な量販店やカー用品店ではちょっと厳しい。その点、BEWITH製品は一定以上の技術を持った専門店でしか扱っていないので、スピーカーを取り付ける際にAVナビのサウンド調整もお願いしておけば相当なレベルアップが期待できる。良心的なショップなら、スピーカーの取り付け工賃の範囲で引き受けてくれるのではないかと思う。購入の前に相談してみて欲しい。

◆STATE MM-1Dとデジタルプロセッサーによるハイエンド入門プラン

今回聴いたもうひとつの組み合わせは、ミラー型リニアPCMプレーヤー「STATE MM-1D」とデジタルプロセッサー「BEWITHSTATE」、モノラルパワーアンプ「Reference R-107S」を使って、先ほどと同じ13cm2ウェイスピーカーの「B-1300U」を駆動するシステム。メモリープレーヤー+デジタルプロセッサーの理想的なコンビネーションで車室内空間の音響特性を厳密に補正し、なおかつユーザーひとりひとりの好みに沿ったサウンド調整を実現する、ハイエンド・カーオーディオ入門に最適なプランと言えるだろう。リアにもフロントと同じアンプ/スピーカーを装着した取材車の組み合わせでは製品代金だけで約80万円に達し、取り付け費用なども含めれば100万円コースとなるが、リアのアンプ/スピーカー交換を省略すれば20万円ほど安く収まる。前席で楽しむぶんにはフロントだけでまったく充分だと思う。

このシステムのサウンドは、先ほどのヴェルファイアと比較しても明らかに格が違う印象だ。

スピーカーは同じだが、わずかに残っていた音の雑味がすっきりと消えて、代わりに音楽の持つ生々しさや艶といったニュアンスの部分が際立ってくる。特に、演奏会場の気配や空間構成がリアルに再現できるのはやはりこのクラスならではと言えるだろう。スピーカーの取り付けはトゥイーターが純正との交換装着、ウーファーはワンオフ製作したアウターバッフルをドアの純正グリルの代わりに取り付けている。取材車ではスピーカーユニットが見える状態でインストールされていたが、もちろん純正グリルの内側にスピーカーを収めることも可能だ。なお、良い音のためには多少インテリアを変えても良いというのなら、BEWITH独自のオール偏芯コーンを採用したAccurateシリーズのスピーカー(5cmトゥイーターのA-50IIと13cmミッドウーファーのA-130IIのセットで14万7000円)をぜひお薦めしたい。50mmトゥイーターの装着位置にはそれなりに工夫が必要だが、オール偏芯コーンの鮮烈なサウンドは期待を裏切らないはずだ。

目に見えない音の違いにどれほどの価値を見いだすかは人それぞれであり、その意味では、BEWITHのような高級カーオーディオの世界は誰にでも無条件に薦められるものではない。でも、本当に良い音を手にすべき人が気づかずに過ごしてしまったら、それもまた実にもったいない話だ。

もしこの記事をお読みになってピンと来るものがあったなら、まずはショップを訪ねてデモカーの音を聴いてみることをおすすめする。できれば複数の店舗をハシゴして、「同じスピーカーでも取り付ける人の感性で音が全然違う」というあたりがわかってくると面白さも倍増する。聴き比べる楽しさを味わいながら音のイメージをじっくりと絞り込み、理想のサウンドを探し当てていただければ幸いである。

《内藤 毅》

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