【フィット プロトタイプ 試乗】久々にホンダらしさが凝縮された先進性のカタマリ…鈴木ケンイチ

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ホンダ フィットハイブリッド(プロトタイプ)
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秋に発売が予定される新型『フィット』プロトタイプの試乗の機会を得た。

試乗会場に待ち受けていた新しい「フィット」は、従来からのセンタータンクレイアウトのコンセプトを踏襲。モノフォルム的なスタイルはそのままに、よりエモーショナルかつ先進性を感じられるデザインになっていた。従来モデルの成功をそのまま引き継いだ、いわば正常進化モデルと言っていいだろう。

ラインナップは1.3リットル&CVT、1.5リットル&HV、1.5リットル&CVT、1.5リットル&MTが用意されるという。その中でも、やはり注目は1.5リットルのHVモデルだ。

このハイブリッドには、これまでのホンダの「IMA」ハイブリッド・システムから大きく進化した、次世代の「スポーツハイブリッドi-DCD」が搭載される。出力アップしたモーターと7速DCT、リチウムイオン電池を組み合わせることにより、クラストップレベルの燃費性能を達成するという。また、この新しい1モーター式ハイブリッドは、EV走行モード、エンジン出力+モーターアシスト、エンジン走行モードを使い分ける。さらに、駆動用電池で作動させるフル電動コンプレッサーを備えたエアコンや電動サーボブレーキシステムを搭載しているのも特徴だ。

7月の強い陽射しの下で行われた試乗会であったが、このフィットハイブリッドは、ヒンヤリとした冷風をドライバーに送りながら、スルスルと音もなくスタートした。出足はスムーズそのもの。速度を上げてゆくと、セルモーターが回りエンジンに駆動の主役を受け渡すが、そのときでも不快な振動は皆無。DCTによる変速ショックもこなれたもの。ホンダにとって4輪用DCTは初めてのはずだが、その洗練度の高さに驚くばかりであった。

やや軽めのステアリング操舵感はホンダならではのものだが、軽すぎるわけでもなく、軽快な印象が得られた。それでも、他の1.3リットルや1.5リットルモデルと比べると、ハイブリッド・モデルの静粛性や重厚感は圧倒的だ。また、試乗の舞台は、ほとんどサーキットのようなコースであったが、新型フィットの走りは、安心感に溢れ、余裕をもって走行を楽しむことができた。

優れたパッケージングによる広々とした室内空間はそのままに、新型は新世代パワートレインならではの優れた燃費性能と動力性能を備えていた。久々のホンダらしい先進性に溢れた新型「フィット」は、経済性だけでなく、先進性を求めるダウンサイジング指向のユーザーにもおすすめできるクルマといえる。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

鈴木ケンイチ|モータージャーナリスト
AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)理事。1966年生まれ、茨城県出身。一般誌からライターとしてのキャリアをスタート。芸能、文化、社会関係など幅広い対象への取材・執筆活動を行いながらも30代から軸足を自動車関連に移動。現在は新型車や新技術などの取材を多くこなしている。

《鈴木ケンイチ》

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