ダイハツ工業の伊奈功一社長は4月25日の2013年3月期決算会見で、軽自動車の優遇税制について「私は決してそうではないと思う」と強調し、この税制を守っていくべきとの考え方を示した。
「軽自動車は、日本という狭い国、道路の狭い国で発達した車で、日本の文化に合った車。いわゆる日本の国民車という存在だと思っている」
しかも、軽自動車には車両の大きさをはじめ、排気量などの規制があり、輸出もしていない。そして、伊奈社長が最も強調したのが「内外のどのメーカーもこの規格に合う車をつくれば、同じ税制を受けられる」ということ。したがって、優遇税制ではないというわけだ。
しかし、欧米の自動車メーカーにはその考え方が通用せず、TPP(環太平洋経済連携協定)や日欧EPA(経済連携協定)の交渉では、必ず軽の税制問題が話題に上る。ある意味、自国に有利な条件を引き出すための道具として使われている格好となっている。
また、財政的に厳しい総務省も、なんとか軽自動車の税負担の引き上げを模索しているという。年間税収ベースで自動車税が1兆6000億円余りなのに対し、軽自動車税はわずか1810億円と大幅に少ない。そのうえ、軽自動車市場は年々拡大しているため、さらに税収が減ってしまうことになりかねないのだ。
このようにさまざまな思惑が絡んだ軽自動車税。伊奈社長は今の税制を守りながら軽自動車事業を進めていきたいと願っているが、果たしてその通りに行くか。