三菱『RVR』は現行モデルが3代目。過去の2代はミニバンのシャリオと姉妹車を構成するモデルだったが、2010年にデビューした3代目はギャランフォルティス系というか、アウトランダー系の基本プラットホームをベースに作られた街乗り中心のSUVになった。
3代目RVRはデビュー後、2011年10月に搭載エンジンを変更して燃費を向上させることでエコカー減税に適合させたほか、2012年12月には内外装のデザイン変更や足回りのチューニングの変更などを実施した。
外観デザインはSUVらしい力強さを表現すると同時に、試乗した最上級グレードのGではメッキモールを多用することなどによって見栄えの良い外観とした。インテリアもシート地の変更などで質感を高めている。
搭載エンジンは直列4気筒1.8リッターで、2011年に環境性能を向上させたときにSOHC仕様に変更され、同時にAS&G(アイドリングストップ機構)を採用したことなどによって燃費を向上させた。
エンジン型式が当初の4B10型のDOHCから4J10型のSOHCへと変更されたが、ボア×ストロークの数値から動力性能に至るまで、仕様や性能などは全く変わらない。弁機構が変更されたことなどによって、燃費性能が大きく向上した。
走りのフィールにも特に変化はなく、低速域ではそれなりにトルク感があるし、CVTとの組み合わせはそれなりにスムーズ。まあダイレクト感に欠ける感じがあるのはCVTに特有のものだが、それも大きな不満として感じられるものではない。
試乗車は最上級グレードのGの4WD車である上に、いろいろなオプションを装着することで1500kgに近い重さになっていたが、走りはその重さに負けていなかった。
クルマが止まるとすぐにエンジンが停止するし、再始動時の振動や騒音も良く抑えられていてまずまずのレベル。できれば停止時間をもっと長持ちさせるような工夫が欲しいところだが、全体として納得レベルにあった。
足回りは乗り心地と操縦安定性を高いレベルで両立させたという触れ込みながら、正直なところこれは1台だけに乗ったのでは分かりにくかった。従来の仕様のクルマと同じ条件で乗り比べたら、良くなったのが分かるだろう。
オプションのカーナビは高精細モニターを採用したタイプに変わったが、ロックフォード・フォズゲートのオーディオと合わせると価格は40万円を超える。多くのユーザーが選択するオプションにはなりそうにない。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★
松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。