【GARMIN FourAthlete 910XTJ インプレ前編】自転車、水泳、ランニング…最高峰の万能型トレーニングウォッチ

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GARMIN FourAthlete 910XTJ
  • GARMIN FourAthlete 910XTJ
  • 写真で見ると普通のデジタルウォッチにも見えるが、実物はかなり大きな印象を受ける。ベルトは幅広だが柔軟性は高い。
  • モノクロ液晶のディスプレイはサイズが1.53インチ、解像度が160×100。ボディは弾力のあるゴムのような素材で覆われている。
  • 裏ブタは梨地仕上げの金属。充電用の電極が設けられている。
  • スポーツモードに「ラン」、「バイク」に加えて「スイム」が加わった。50m防水は頼もしい。
  • 付属の充電ケーブルはクリップ式で、このように本体に加えさせて充電する。ディスプレイの表示がちゃんとクリップを避けているのが芸が細かい。
  • 付属のUSB ANT+スティック。これをパソコンに接続し、ドライバのインストール、必要な設定をすると、データを自動的にGARMINコネクトにアップロードできる。
  • 別売のハートレートセンサー。胸に巻きつけて使用する。装着はやや面倒だが、軽いので激しく運動してもずれることはない。

次々と新製品を発表するGARMINのラインアップの中でも、ひときわ大きな進化を続けているのがランニングコンピュータだ。昨年末に登場したハイエンドモデル「ForeAthlete 910XTJ」はもはやランニングコンピューターのカテゴリに収まりきれないほど多機能になった。その使い心地を報告しよう。

トライアスロンにも使用できる多機能コンピューター

これまで、GARMINの「ForeAthlete(フォーアスリート)」シリーズを紹介するときは「ランニングウォッチ」という言葉を使ってきた。従来のForeAthleteシリーズはどれもコンパクトで丸い盤面を持ち、主要な機能をオフにした上で時刻を表示させるスタンバイモードによって、腕時計として使うことができたからだ。しかし、今回取り上げる『ForeAthlete 910XTJ』は腕時計として使うことはできない。本体は腕時計と呼ぶにはあまりに大きくなりスタンバイモードも省略された。従ってランニングコンピューターと呼ぶことにする。

腕時計として使えなくなったことをネガティブなイメージで捉えるGARMINユーザーはおそらく1人もいないだろう。むしろ、より本格的なランニングコンピューターとして生まれ変わるために腕時計機能を捨てたことを、嬉しく思う人が多いはずだ。実際、本機は「新しいステージに突入した」と思わせる変貌を遂げている。

それを感じさせる第一の要因は、外観の変貌ぶりだ。横長の角型液晶ディスプレイを搭載し、丸型液晶だった従来のForeAthleteシリーズとはまったく違うデザインになっている。本体部分のサイズは横幅が61ミリ、上下が54ミリ、厚みが15ミリ。横長の液晶搭載のために横幅がぐっと大きくなった。

外観の激変ぶりにふさわしく、機能も大幅に進化している。まず、本体は従来の日常生活防水から50m防水となった。このスペックアップが意味することは、水泳にも使えるようになったということだ。本機のアクティビティ選択画面には「ラン」、「バイク」に加えて「スイム」が新設されている。なお、従来のForeAthleteシリーズのもっとも特徴的な機能であったタッチベゼルやタッチスクリーンは廃止された。これはタッチ機能が水中では使えないためだろう。

バッテリー寿命は従来モデルの8時間から20時間へ一気に伸びた。最近、ジョギングではウルトラマラソンやトレイルランニング、自転車ではブルベのように、1日じゅう走り続ける競技が盛んになってきており、これに対応するためのスペックアップだと思われる。実際、従来モデルのバッテリー寿命が短すぎるという声はかなりあったようで、ユーザーの声や競技の最新トレンドに即応した改良といえる。

ここまで読めば気がついた人も多いと思うが、本機は水泳への対応とバッテリーの長寿命化により、トライアスロンで使用できるようになった。むしろトライアスリートのために開発されたモデルというべきかもしれないが、過酷なトライアスロンに対応したことでより多くの競技で使える万能さを手に入れたといっていいだろう。

なお、本機にはさらに気圧高度計やGセンサーも新たに搭載されている。このハードウエアの進化ぶりは目を見張るものがある。

◆心拍計などは同時購入がおすすめ

本機のパッケージには本体のほか、パソコンにデータを転送するためのUSB ANT+スティック、それに充電用ケーブルなどが付属する。しかし、ハートレート(心拍)センサーなどの外部センサーは一切付属しない。もちろん、本機は単体でも使用可能で、本体内に内蔵したGPSアンテナと気圧高度計によって、ジョギングや自転車で走った距離やタイム、ルート、高度などを計測、記録することができる。そこから消費カロリーを計算して表示する機能もある。

しかし、だからといって本機は単体で使うのが基本で外部センサーは贅沢なオプション、などと考えるのは間違いだ。GARMINはフィットネス用のデバイスとセンサーを無線接続する「ANT+」規格を推進しており、現在では他メーカーからもANT+を採用したセンサーが多数販売されている。こういった状況から、ユーザーの手持ちのセンサーとダブってしまうことがないように、あるいは、他メーカーも含めた製品の中からユーザーが自由に選択できるように、あえてセンサーを付属していないと考えるべきだ。

外部センサーでマストといえるのは心拍をモニターするハートレートセンサーだ。心拍は運動強度、つまり自分のやっている運動の激しさを示す指標になる。例えばダイエットを目的に運動する場合、効率的に脂肪を燃やすには有酸素運動をしなければならないが、運動が有酸素運動か無酸素運動かは、ジョギングやウォーキングといった運動の種類で決まるのではない。運動強度で決まるのだ。

心拍をモニターすることで、無酸素運動の状態を避け、効率的に痩せられる有酸素運動だけをすることができるようになる。また、運動不足の人がこれから運動を始めるといった場合には、心拍が上がりすぎて危険な状態にならないようにする安全確保の意味でもハートレートセンサーが有用となる。本機を購入するがセンサーは持っていない、という人は、最低限ハートレートセンサーは同時に購入することを強くおすすめする。

その他のセンサーとしてジョギングなら靴に取り付けるフットポッド、自転車ならケイデンスセンサーやスピードセンサー、パワーセンサーなどがあるが、本機は全て対応している。冒頭で本機はもはやランニングウォッチではないと書いたが、実はランニングコンピューターというカテゴリにさえ収まらない。高性能なサイクルコンピューターとしても使えるからだ。しかし、こういった万能フィットネスGPSデバイスをどう呼べばいいか、適当な名称がない。製品の進歩に言葉が追いついていない状況だ。

なお、本機は50m防水となったことで水泳にも使えるが、水泳ではハートレートセンサーも含めて外部センサーは一切使えない。しかし、本体に内蔵されたGセンサーによって腕の動きを検出し、それによって泳法、ストローク数、ターン数をモニターできる。泳法まで自動検出できるというのも驚くべき機能だ。

《山田正昭》

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