実用化を視野に入れたITSのデータセントリック…ITSシンポジウム レポート

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いよいよ来年10月に迫ったITS世界会議 東京2013。それに先駆け、毎年1回開かれているITSジャパン主催のITSシンポジウムが12月13日、14日の二日間、愛知県立大学(愛知県長久手市)キャンパス内の講堂で開催された。11回目となる今回は「しなやかなユニバーサル社会をつくるITS」がテーマだ。

2日間のプログラムは以下のとおりだったが、活発な論議と充実した研究発表で日本のITSの先端状況が理解できる会合となった。まず初日の模様を報告する。


◆広域連携によるプローブデータの見える化を…「データセントリックITS」

ネット環境の整備で、今後はプローブ情報を始め、CAN・車載カメラその他の様々なセンシング情報が、いわゆるビッグデータとして集まってくる。これらを使ってITSが新しい価値を創造することが期待され、データを一カ所に統合して一元管理する技術の確立が課題となっている。「データセントリックITS」はこの問題に関してのセッションだ。

モデレータは武田一哉名古屋大学大学院情報科学研究科教授。まず、これまでのプローブ情報収集の歴史と今後の展開について森川高行名古屋大学大学院環境学研究科教授、ビッグデータ化によるサービス体制の構築について時津直樹インターネットITS協議会事務局長、ドライバモニタによるデータのモデル化と評価に関して宮島千代美名古屋大学大学院情報科学研究科助教、そしてデータ分析に対する器械学習の活用に関して松井知子情報・システム研究機構統計数理研究所モデリング研究系教授という4名のパネリストが発言し、その後、活発な論議となった。

ITSの場合、これまではエンドユーザーが見えないような状態だったが、スマホ等によってユーザーへ直接情報を提供できる環境ができてきた、しかしオペレーションセンターがなく、また大同団結するのが一番いいというものの、誰がオペレーションするのかという問題がある。この議論では、今こそそのルールを決める時期ではないかという結論に至った。

その後の質疑応答では、会場の渡邉ITS JAPAN会長が「技術が揃ってきているのに担い手がいないことは、世界中で同様に戸惑っている。ITS JAPANは各地域にITS情報センターを作っているので地域と一緒になってプローブと公的な情報をマージし、それを広域連携して市民還元したい。プローブは自分の行動によって世の中を変えること。直接参加の世直しができることだ。そういうフィールドを待つのでなく作るべき時が来ている。」と発言。

ITS JAPAN専務理事天野肇氏も「プローブデータでは官民の情報をシェアしあう仕組みを作ろうと国へ提案しているが、311の時でも民間データは集まったが国や公共団体の貴重なデータが出てこなかった。つまり昔のようなトップダウン、一枚岩でやるのは今や間違っているのではないかと思う。今後はやる気のある複数社が集まり、100%の合意はなくてもどんどん進めていくべき。大手企業ばかりではなく、中小の新しい息吹を持つ企業にもアプローチしていくべきだ。企業だけでなく個人的にこの指とまれ!という形で集まっていくべき」と発言した。


◆ポスターによる対話型セッション…研究発表
午後からは地下の別室で57の研究発表がポスター掲示され、そこで様々な質疑応答が行われた。また以下の研究に賞が贈られた。

●論文賞
車線変更を考慮した車両マッチング手法に基づく旅行時間計測
小川喬之、宇野伸宏、嶋本寛(京都大学)、塩見康博(立命館大学)

●ベストポスター賞
路面電車の位置情報配信から街のナビゲータを目指して
森田均 (長崎県立大学)

工事入札公告を用いた道路更新情報の推定可能性に関する研究
中條覚 (東京大学/三菱総合研究所)

料金収受システム向けステレオ車両検知の開発
佐藤俊雄 (東芝)

ドライバ特性に着目したベクション刺激の効果
岡田若奈 (名古屋電機工業)


◆安全で低燃費なコンボイ輸送を実現する 「エネルギーITS」

大型トラックの自動運転隊列走行を通じて、低燃費で安全な自動運転を実現することを目的としているNEDOのエネルギーITS事業は今年度が最終年度。このプロジェクトの中心メンバーがモデレータおよびパネリストとして事業成果の概要を説明した。

モデレータは津川定之名城大学理工学部情報工学科教授、パネリストは青木啓二財団法人日本自動車研究所ITSセンター自動運転・隊列走行プロジェクトリーダー、須田義大東京大学生産技術研究所先進モビリティセンター長・教授、大口敬先進モビリティセンター教授、石太郎早稲田大学環境総合研究センター招聘研究員・エネルギーITS推進事業技術委員会委員長。

ここではCO2排出量測定など、交通シミュレーションにより交通現象を見える化する技術に関して国際的に信頼される評価方法を確立できたこと、隊列走行が実現性のある日本の先進技術として世界をリードできるレベルに完成したことが報告された。今後の展開と課題に関しては、機械と人間の役割分担の明確化、認知活動、スピンアウト技術のさらなる実用化検討、乗用車への展開、国際連携、プロジェクト推進組織の検討などが話された。技術的に完成した隊列走行が、早く実用化されることを願いたい。
《水野誠志朗@DAYS》

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