車載用マイコンで世界トップのルネサスエレクトロニクスは、政府系ファンドの産業革新機構やトヨタ自動車、日産自動車などが総額1500億円の増資を引き受けると発表した。
同社は家電向けLSIなどの不振で業績が悪化、人員削減や工場閉鎖などの経営再建を進めてきた。財務体質の抜本的な改善を図るため、機構やルネサスのマイコンのユーザーである自動車メーカー、電機メーカーなどが出資、「日の丸半導体メーカー」を日本の産業界で支える。
機構が1383億50000万円を出資するほか、ユーザー企業8社が総額116億5000万円出資する。ユーザー企業の出資額の内訳はトヨタが50億円、日産が30億円、ホンダ系サプライヤーのケーヒンが10億円、デンソーが10億円、キャノンが5億円、ニコンが5億円、パナソニックが5億円、安川電機が1億5000万円。
機構と8社は、来年2月から9月までにかけてルネサスが発行する第三者割当増資を各社が引き受ける。発行価格は1株当たり120円で、総額1500億円を調達する。
増資後は機構が69.16%出資する筆頭株主となり、ユーザー企業8社の出資比率は5.82%。母体企業であるNEC、日立製作所、三菱電機の3社の出資比率は従来の91.13%から22.8%にまで下がる。
ルネサスは調達した1500億円のうち、研究開発投資に400億円、設備投資に200億円、自動車向けソリューションに400億円、産業向けソリューションに400億円、経営基盤再構築に100億円を投じて、将来に向けた競争力を強化する。
記者会見でルネサスの赤尾泰社長は「(増資で調達した資金は)グローバル競争を勝ち抜くための成長投資に充当し、強化分野のシェア拡大や売上げ成長、利益率改善を実現する」と述べた。