トヨタ『プリウス』に代表されるハイブリッドカーの燃費数値が良くなる仕組みはこうだ。
モーターの力でエンジンをアシスト、もしくは停止(『キャンターエコ ハイブリッド』はモーター単体駆動時でもエンジンは停止しない)させ燃料を節約するとともに、制動時には運動エネルギーを回生して電気エネルギーを生み出し、駆動時にそれをモーターを通じて活用するのである。
この法則は乗用車でもトラックでも同じ。違うのは、ボディ+積荷で5トンにもなる(2トン積車の場合)車両重量から回収できる回生量が乗用車に比べて圧倒的に多いこと。重いものを止めるにはそれに応じたエネルギーが必要だ。
御存知のとおりデュアルクラッチトランスミッション(以下、DCT)は、駆動ギヤの上下ギヤを“スタンバイ”させることでシームレスな変速を可能にしている。このDCT本来の持ち味によって、シフトアップ後に発生しやすい失速がなくなり、一段上のギヤへスムーズに加速力が引き継がれるため、結果的に燃料消費量の低減効果も望めるのだ。三菱ふそうが小型トラックにDCTを採用した最初の理由はここにある。
さらに、キャンター エコ ハイブリッドの場合、2/4/6速ギヤ段を受け持つアウタークラッチ側にモーター兼ジェネレーターが備わっている。つまり、インナークラッチ側が1/3/5速ギヤ段で走行中のときであっても、アクセルをちょっと緩めるだけで通常のDCTであれば“スタンバイ”しかしてないアウタークラッチ側ギヤに回生力を発生させることができるのだ。