これって“アメ車”? と、何も知らない人に見せればそうした声が返って来る事が必至のルックスの持ち主である『ソニック』の走りは、率直なところ「予期した以上になかなか真っ当」というのが第一印象。
レギュラーガソリン仕様の1.6リッターエンジンが発するパワーは、「ワイドな変速レンジと小さなステップ比」を両立させた6速ATとの組み合わせで、1.2t強のボディをなかなか効率良く加速させる。
スタート時の力強さは期待以上だし、シフトプログラムも日本の街中で違和感ナシ。ただし、アクセルペダルを深く踏み込んだ際のパワーの伸び感は少々希薄で、端的に言って「加速感は、エンジン回転が高まるほど期待から離れて行く」という印象だ。
Aピラーがやや太めでその基部の死角も大きめであるのを除けば、全方向への視界に優れるのがまずは好感触。中でも、ドアミラー周辺の“抜け”が良く、右左折時の死角が気にならないのはこうしたベーシックモデルでは重要なポイント。
また、面圧分布が適切で着座感に優れるドライバーズシートは、多くの日本の同クラス車を凌ぐ出来。後席は、前席下への足入れ性に優れるので大人も問題なく寛げるスペースを確保する。
ちょっと気になるのは“ヨーロピアンチューンド”を謳うフットワークが妙に鋭いステアリングレスポンスを発し、クルージングシーンでのフラット感にもやや乏しい事。「わかりやすさ」を狙った結果かも知れないが、これを“スポーティ”とするのは当たっていないように思う。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★
河村康彦|モータージャーナリスト
1985年よりフリーランス活動を開始。自動車専門誌を中心に健筆を振るっているモータージャーナリスト。ワールド・カーオブザイヤー選考委員、インターナショナル・エンジンオブザイヤー選考委員。