BASFコーティングスは2~3年先の世界のカラートレンド予測を発表した。今年のテーマは“Come Closer”。直訳するとちょっと近くにおいでよというのがグローバルのテーマである。
このテーマをもとに世界共通のカラートレンドとして3つの提案があった。ひとつは、“精妙なるシンプルさ”、次に“集合体としての個人”、最後は“直感的な論理”である。これらをもとに、地域別(北米、欧州、アジア・パシフィック)のテイストを解釈した色に落とし込んでいる。
まずは“精妙なるシンプルさ”。「我々の生活はとても複雑になってきているが、本当に大事なものは何かと考えたとき、健康だったり家族だったりと、すごくシンプルなことだと思うのです」と話すのは、カラーデザインセンターアジア・パシフィックグループマネージャーチーフデザイナーの松原千春さん。
「原始人の生活はすごくシンプルでわかりやすかった。そういう原始的なシンプルな考え方、または、暮らし方というものを現代に取り入れていくことがいいのではというのがテーマ」
それをカラーに落とし込むと、「木の色とか海の色そのままではなく、それを現代風にアレンジして、少し人工的にしたもの」だという。
アジア・パシフィック地域では「白い色でもちょっと濁ったような色や、クルマで近年人気のブラウン味も多く入れています」と同時に「世界的に自動車では艶消しが流行っていて、2輪も同じトレンド。あえて自然を感じるようなブラウンの色域でも艶消しというのは面白い組み合わせかなと思って提案しました」という。
次に“集合体としての個人”。「個性も大事だが、同じ趣味やコミュニティでもバランスよくつながっていこうというもの」とし、「個人の感情の内面的なところもあるので、色としては中間色で、デリケートな、微妙な干渉効果のある色や、ちょっとレトロでノスタルジックを感じるようなカラーもあり、そこで内面的なところを表現しています」という。
具体的なカラーは、「グレー系でも少し紫色っぽい色が付加されて、光が当たると少しグリーンがふわっと浮くような、すごく繊細で微妙な色などを出しています。またアジア・パシフィックでは、ホワイトパールが大変重要、人気の色なので、欠かせないのです」。
グローバル共通の3つ目のテーマは、“直感的な論理”。「未来を感じるテーマですが、技術が前面に出てくるのではなく、我々人間にとっての未来なので感覚的、直感的に訴えかけてくるものです」とし、「グレー系などは技術的な未来感を感じさせることが多いのですが、どの色もちょっと有機的な印象を持った色で、技術的に特化したものという印象ではなく、少し柔らかめの未来感、あるいは光の色を表現したものなどを提案しています」と語った。