トヨタ自動車が新興国専用のエントリーモデルとして2010年末にインドに投入した『エティオス』は、同国の気候に合わせて専用のエアコンをデンソーと開発した。
エティオスの開発責任者である則武義典製品企画本部チーフエンジニアによると、「“のど元風速”が現地では重要な要素であり、乗員に当たる風速は秒速2.5mとクラス最大にした」という。
則武氏は2006年の開発着手時から、頻繁にインドに出張滞在し、さまざまな現地のニーズを掘り起こし、開発に反映してきた。エアコンについては「暑い車室外から乗車した時には、とにかく強力な冷風が必要」と判断した。
また、後席にも十分な冷風が届くようインパネの中央部に大きな縦型の送風口を設置し、インド向けならではの工夫を凝らした。「冷房や送風能力があれば、騒音はある程度犠牲にする」というのもインドユーザーの価値観だと分かり、コスト面でも割り切って送風重視の設計とすることができたという。