モーターボートで波を越えるように、不整地のギャップなどをものともせずグイグイ乗り越えていく力強さ。これがフレームシャシーを持つSUVの大きな魅力だった。そのフレームシャシーに別れを告げ、ついにモノコックボディとなった新型『エクスプローラー』にこの味わいが残っているのかどうか心配だったが、杞憂だったようだ。今回はオフロードコースを走る機会も得られたが、その乗り越え感は健在であり、さらに急降坂を不安なくこなす「ヒル・ディセント・コントロール」の効果も確認できた。一方で「大きなハコ感覚」は残っており、舗装のワインディングでの身のこなしはアメリカンSUV的。飛ばすには勇気が要るが、この適度な「ユルさ」もエクスプローラーならではか。もっと引き締まったSUVが欲しいならリンカーン『MKX』などをチョイスするといいだろう。オプションでも設定されていないカーナビは、インパネ内に収納できるタイプを開発中ということで、あとはやや操作しにくいシフトレバー上のマニュアルシフトボタンを、パドルシフトへ進化させてくれればより運転が楽しくなる。実現すればオン・オフとも文句なくエンジョイできる力強い味方となってくれるはずだ。■5つ星評価パッケージング★★★★インテリア/居住性★★★★パワーソース★★★フットワーク★★★★オススメ度★★★★田畑修|フリーランスライター1957年東京生まれ。1980年に日刊自動車新聞社に入社し、『輸入車ガイドブック』編集長などを歴任後、1998年からフリーランスに。古き良き時代のクルマ社会に関する記事や自動車産業の動向、参加型モータースポーツのレポートなどを手がける。