気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。
2011年6月14日付
●原発事故作業員、被曝限度超え8人に(読売・1面)
●伊、原発再開を断念、国民投票成立、「反対」9割超す勢い(読売・1面)
●EV、初の100万円台、三菱自一般向け、近距離用(読売・8面)
●「東電、来年度16%値上げ」賠償10兆円で試算、政府支援策(毎日・1面)
●自動車用鋼板値上げへ、1トン当たりで1万円超(毎日・8面)
●三菱自業績予想、売上高は6.6%増、12月3月期(毎日・8面)
●EVをカーシェアへ、トヨタがマンション向け(東京・1面)
●「水戸の梅」を隠し味に、常磐線新型特急を公開(東京・31面)
●車復旧、販社支援に軸、トヨタ低利融資、ホンダは新車在庫融通、部品調達メド(日経日・1面)
●原発比率21%に低下、5月発電量(日経・3面)
●10月から全車種生産、トヨタ、1か月前倒し(日経・10面)
●ホンダ、二輪生産2割減、今年度インド合弁解消響く(日経・11面)
●リチウムイオン電池シェア、韓国、日本に並ぶ(日経・11面)
ひとくちコメント
「イタリアは原発にさよならと言わねばならない」と語ったベルルスコーニ首相。原発再開の是非を問うイタリアの国民投票が13日午後3時(日本時間同日午後10時)に締め切られ、成立条件の過半数を上回る約56.99%の投票率に達し成立した。国内投票分100%の開票で原発反対票が94.53%となり、イタリアでの原発立地は事実上、不可能になったという。
きょうの各紙が「伊、原発再開凍結へ」(朝日)などと、1面で大きく報じている。原発建設に前向きな産経だけは2面で掲載。福島第一原発事故後、スイス、ドイツが脱原発に踏み切ったが、国民投票で反原発の立場を鮮明にしたのはイタリアが世界初めてのケース。
イタリアの国民投票の結果は日本を含めた世界的な脱原発の動きが加速する可能性もある。きょうの朝日によると、退陣時期をあいまいにしている菅首相が「最近は『脱原発』に執心している」と伝えている。「世の中をもう一度ひっくり返さないといけない。脱原発で行く」と、知人との会食もで語ったという。延命の切り札に「脱原発」を訴えかける可能性もある。
また、きょうの日経に気になるデータがある。電事連によると、5月の国内の原子力発電所の稼働率は40.9%となり、9電力会社の原発受電電力量に占める原発の比率はわずか21.3%に低下した。原発再開に揺れる自治体も多いとも取り上げている。
しばらく平和ボケが続いた日本では原発事故からわずか3か月で、イタリアのようにその是非を問うには戸惑いも多いだろう。しかし、今夏の電力不足への懸念とともに、国民1人1人が将来のエネルギー政策について真剣に考える絶好の機会でもある。