日産の新型自動車運搬船…世界の横風をカーブで逃がす

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省エネ型自動車運搬船「シティ・オブ・セントピーターズバーグ」
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日産『リーフ』『GT-R』といったクルマを載せ、イギリス・ニューキャッスル港へ向けて2010年12月25日に同社本牧専用埠頭を出港した、省エネ型自動車運搬船「シティ・オブ・セントピーターズバーグ」。

「世界初の完全な半球形船首」を持つこの船は、旭洋造船が開発・設計・建造などを担当。風圧抵抗を大幅に減らした画期的な省エネ型デザインについて、同船のオペレーターである日産専用船・海技室長兼本牧事務所長の藤岡吉宏氏はこう話す。

「風圧抵抗低減による燃料節減・CO2排出量削減のほかに、船首の球面が真球に近い形状をしているので、ある程度パーツが共通化できるぶんコストも抑えられる、というメリットもある」

旭洋造船による「SSS(Semi Spherical Shape)バウ」(=半球型船首)という開発コードで研究・開発された同船の外観を見ると、丸くなっているのは船首だけではないことがわかる。

日産専用船の子会社で運航を担うユーロ・マリン・キャリアー(本社、オランダ)のスタッフは船の“わき腹”を眺めながら「自動車運搬船というのは、満載時で比べると石油タンカーなどよりもはるかに軽く、ほとんど沈まない。だから風に弱い」という。

「とくに船体サイドの投影面積が大きいので、横風の影響を受けやすい。だから垂直に立った壁に当たる風を逃がすために、船体のサイド上部にカーブをもたせている。それでも海峡や離着岸のさい、どうしても揺れて直進安定性を失う場合があるので運航には気を遣う」(同スタッフ)

同船は、太平洋を南西に進路をとり、南シナ海・マラッカ海峡・インド洋・紅海・スエズ運河・地中海・ジブラルタル海峡などを経て、出港から約1か月後の1月25日前後にニューキャッスル港に入港するとみられる。

いまごろはスリランカの南海上あたりを西進しているころだろうか。

《レスポンス編集部》

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