トヨタのグローバル戦略の中核を担うコンパクトモデル、新型『ヴィッツ』(12月22日発表)。1.3リットルエンジン搭載モデルはアイドルストップ非搭載モデルでも10・15モード燃費24km/リットルと、国内のコンパクトモデルの中ではホンダ『フィット』に次ぐ優秀な燃費値を誇る。
旧型モデルの1.3リットルが同モードで20km/リットルだったのに比べて、実に20%もの改善が図られたことになる。エンジンが欧州市場に先行投入されていた新世代機に切り替わったことに加え、変速機のCVTの制御を劇的に変えたことが貢献したという。
製品主幹の菅野伸介氏は、「車両開発チームからのオーダーに、当初はCVTの設計部長が『ひっくり返ってもできん』と返事をしたほどの制御を盛り込みました」と言う。CVTの設計を手がけた担当者は、「CVTとエンジンを協調制御させ、スムーズな加速感を維持しながらアクセルの踏み初めの余分な吹け上がりを抑制するなどして、加速に不必要な燃料供給を削減しました」 と説明する。
CVTは変速比が無段階で、エンジンの効率が良いところを積極的に使えるというメリットがある半面、変速比が変わる途中ではエネルギー効率が落ちやすく、またレスポンスも鈍いという欠点がある。そのCVTでよりきめの細かい制御を行うため、トルクコンバーターにトヨタが得意とする「フレックスロックアップ」を採用した。
トルコンのロックアップクラッチは通常、開放と作動の2モードだが、フレックスロックアップは湿式多板クラッチのように、臨機応変にスリップ制御が入る。「CVTでフレックスロックアップに相当する機構を採用したのは、このヴィッツが世界初だと思います」(CVT設計担当者)
燃費だけでなく、ドライブ時のスムーズさも向上しているという。ディーラーでテストドライブする時にはぜひ体感しておきたいポイントのひとつだろう。