全日本選手権フォーミュラ・ニッポンは、9月26日に宮城県・スポーツランドSUGOで第5戦決勝(62周)を開催。無給油作戦を敢行した大嶋和也(トムス・トヨタ)が、最終ラップの大逆転で自身初優勝を飾った。これで今季は、第5戦にして5人目のウィナーが誕生する混戦模様となった。
レースはスタート直後の2コーナー〜3コーナー間でアクシデントが発生し、セーフティカー導入となる波乱の幕開け。ここでポイント首位のジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(インパル・トヨタ)が緊急ピットインを強いられ、彼は13位まで後退してしまう。トップは小暮卓史(ナカジマ・ホンダ)で、2番手がポール発進のロイック・デュバル(ダンディライアン・ホンダ)という順位。しかし戦闘再開となった5周目、すぐにデュバルが小暮をパスし、そこからリードを広げてゆく展開に。
今回はタイヤ交換の義務こそないが、1回のピットストップでタイヤ交換+給油が基本作戦となった。しかし、そんな中で満タン・スタートの無給油ノーピット作戦を採ったのが、大嶋である。また、オリベイラも緊急ピットの際に満タンにしており、実質的に大嶋とほぼ同じ作戦となっていた。他の選手たちがピットストップを終えた段階で、トップ大嶋、2位オリベイラという形勢に変わり、終盤55周目にはオリベイラが首位を奪取する。災い転じて福となす、とは、まさにこのことか。
デュバル、アンドレ・ロッテラー(トムス・トヨタ)ら1ストップ組の追い上げもとどかず、レースはそのまま決着…かと思いきや、最終ラップにドラマが待っていた。オリベイラはガス欠! 大嶋が初優勝を飾り、2位デュバル、3位ロッテラーという結果になったのである。
大嶋は、「マシンの調子は良かったのに、予選は他車のアクシデントで黄旗が出た影響で、ああいう結果(10位)になってしまった」ため、決勝は普通にいくよりも「無給油でいきたい」とチームに直訴。その奇襲作戦を見事に完遂して初優勝を飾った。「2年目の今季は、もっと早い段階でいい成績を出せると思っていた。スッキリしましたね。嬉しいです」とコメントしている。
オリベイラがストップ(11位完走扱い)した結果、ドライバーズタイトル争いは、今回5位の小暮が31点でトップに立ち、これをオリベイラとデュバルが3点差、ロッテラーが5点差で追う展開に変わった。
残すは2戦。次戦第6戦は10月16〜17日に、大分県のオートポリスで開催される。