7月29日に第1回会合が行われた、電気自動車普及協議会(APEV)の改造電気自動車(EVコンバージョン)部会には、行政側から国土交通省関東運輸局、自動車検査独立行政法人、軽自動車検査協会の担当者が参加し、意見の交換を行った。
関東運輸局自動車技術安全部部長の野津真生氏は、以前からコンバージョンEVの安全性や信頼性に関心を持っており、検討会を開こうかと思っていた矢先にAPEVの存在を知り、連絡を取り合うことで部会の実現にこぎつけたという。
「コンバージョンEVは既存車両の有効活用であり、電気自動車である点を含め、環境にやさしい。しかも新しい産業なので、雇用面も期待できます。運輸局には規制をする部署というイメージもありますが、良し悪しの区別がつかないと補助金の交付も難しい。作り手を苦しめるのではなく、育てるための規制と考えてください」
野津氏はまた、今回の部会によって策定されるガイドラインが、外国製の粗悪な車両の輸入販売を抑止する役目もはたすと予想している。一方でEVコンバージョンのビジネスが輸出できれば、日本のルールがスタンダードになる可能性もあると、世界を見据えた話し合いであることを付け加えた。
自動車検査独立行政法人で関東検査部検査課企画官を務める吉澤真一氏は、現状のガイドラインは内燃機関自動車を基準にした内容なので、EV向けに加えたり省いたりする必要があると語った。
「平成24年(2012年)7月から新しい基準を入れる予定になっているのですが、それ以前に作られたクルマは適用を受けないので、衝突安全や漏電対策などについてのルール策定は急務といえます。現場もガイドラインができれば楽になりますし、地域差もなくなるでしょう。今後は中古車として他のユーザーに渡ったときの対応も考えていかなければならないと思います」
コンバージョンEVに対して一定のルールを作ることで、安全性や信頼性を高めていきたい。この点においては改造する側も検査する側も一致している。現在の状況から考えれば、われわれが予想するより早くガイドラインが策定され、完成車と同等の補助金交付が実現に移されるのではないだろうか。