【カーナビガイド ‘10】「日本の“ガラナビ”市場を変えていく」…GARMIN nuvi1460 マーケティング担当インタビュー

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nuvi1360
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  • 愛車の市街地燃費や高速燃費、そしてガソリン価格を入力
  • ジャンクション拡大イラスト
  • 燃費レポートや燃費の推移グラフにも対応している
  • GARMINのPNDおなじみのメニュー画面。とにかくシンプル
  • nuvi1460
  • ECOドライブ機能の燃費表示画面。もちろん、燃料の消費量を実際に計測しているわけではないが、燃費の良い運転、悪い運転を評価することはできる。

2009年末に登場した上位モデル『nuvi1480』を皮切りに、新世代プラットフォームに切り替わったGARMINのPND。この春には、ワンセグ機能を省いてナビ機能に特化した『nuvi1460』『nuvi1360』を同時にリリースした。いずれのモデルも国産ブランドには見られないBluetooth対応や、独自のエコ機能を採用し、多機能化への道も開きつつある印象だ。新ラインナップの特徴と、日本でのブランド戦略について、GARMIN製品の正規代理店である いいよねっと の高橋玉樹氏に話を聞く。

◆GARMINから言わせれば「日本のナビこそ“ガラパゴス”」

----:GARMINのPNDが日本に登場してから3年半あまりが経ちました。カー用品店や家電量販店でも商品を見る機会が増えましたが、ここ最近の日本のマーケット動向はどのように見ていますか。

高橋:われわれがnuvi360を発売した2006年当時、PNDは非常にマイナーな存在で、商品を出していたのはごく僅かのメーカーだけでしたが、サンヨーが『ミニゴリラ』でこの市場に参入して以来、相次いで国産ブランドがPNDマーケットに打って出てきました。日本の場合、欧米市場と比べても高機能化は著しく進んでいるという印象です。

----:国産メーカーはこの3年で、開発を海外から国内に切り替え、ストレージも大容量化し、ジャイロや加速度センサーも搭載させて、さらには7インチの大画面へと突き進みましたからね。

高橋:世界のPND市場全体から見れば、“物量投入型”のPNDが飛ぶように売れるやはり日本のマーケットは特異です。GARMINから言わせれば日本のナビゲーションは“ガラパゴスナビ”ですから。

----:世界のPNDシェアをGARMINとともに二分しているオランダのTomTomは、GARMINのシンプルさとは対照的に、3年ほど前から高機能化路線をメインストリームに据えています。その意味でこの2社は棲み分けていけたとも考えられますが、スマートフォンの隆盛はPNDを含めたモバイルGPSの世界も大きく変化させているのでしょうか。

高橋:たしかに、iPhoneに代表されるスマートフォンの普及はPNDメーカーにとって脅威でしょう。GARMINとしても、これまでのシンプルさ重視の製品作りは尊重しつつも、若干の軌道修正を図っています。北米市場では、Asusと組んでスマートフォンの『nuvifone』を出したり、PNDについてもより洗練されたUIを目指す方向性へと進んでいます。ただし、あくまでも出発点は“必要最小限の機能”から出発していて、慎重に機能を入れていくスタンスは一貫しています。

----:スマートフォンという強力な競合が出てきたことで、GARMINのポジショニングはシフトしつつあるということですね。

高橋:日本だけでなく、海外でもPNDの大画面化は進行しつつあります。3.5インチモデルの人気も根強いのですが、ひたすらシンプル・とにかく小画面、というニーズはやはり少数派です。それは、日本のナビを意識したがゆえではなく、スマートフォンの登場を受けてPNDならではの進化を考慮した結果だと思います。スタンドアローンのPNDは地図やPOIの鮮度に限界がありますから、やはり通信を取り込むことも早くから目を向けていました。

----:今後の商品展開には、スマートフォンの影響は大きいと見て良さそうですね。

高橋:日本未導入のnuvi3000シリーズなどは、スマートフォンを見まがうばかりの質感とデザインをまとい、モーションセンサーを内蔵しています。マルチタッチやピンチズームにも対応し、音声認識まで対応しています。こういった事から見ても、GARMINはスマートフォンの分野を注視している事が分かります。

かと言って、国産カーナビを「ガラナビ」(笑)と言っているだけでは国内のユーザーに受け入れていただく事はできないということも承知しています。GARMINでは、今までの海外仕様の「翻訳版」だけではなし得ない、根本的な部分から基本機能を見直した「日本版」を開発するプロジェクトも動いています。

◆ハンズフリーだけでも便利さが実感できるBluetooth

----:通信については、09年11月に登場した『nuvi1480』ではBluetoothでのDUN(Dial Up Network)接続に対応して、日本で販売されるナビとしては初めてGoogleローカルサーチに対応しました。また、この春に出た主力モデル『nuvi1460』『nuvi1360』でもBluetoothを標準搭載してネットワーク機能が充実していますね。

高橋:Bluetoothは一番最初に導入されたnuvi360から既に採用していましたし、今後も主力製品についてはBluetoothありきで展開を図ります。Internet検索やPanoramioなどのWeb連携はもちろん、ハンズフリーを使えるだけでもBluetoothのメリットは非常に大きいのです。いま販売されている携帯電話のほとんどはBluetoothに対応していますから、利用の敷居も確実に低くなっています。

----:BluetoothのDUNを利用した機能ですが、どのようなものがあるのでしょう。

高橋:まずひとつはナビ上でGoogleマップのPOI検索が利用できる「Internet検索」です。ホテルや飲食店については、★印で示されるユーザー評価点も表示されます。もうひとつは、「Photos」。これは写真共有サイトの「Panoramio」(パノラミオ)のAPIを利用していまして、現在地周辺のPanoramio画像をnuviの画面上に表示させます。それぞれの画像は緯度経度情報が付属していますので、写真を選択することで、目的地として利用することが可能です。

----:観光地でPhotos機能を使えば、気軽に景勝地や名所へのドライブができますね。

高橋:後は細かい機能ですが、天気予報や空港のフライト情報の表示も可能です。天気予報は、日本だけでなく世界中の都市を調べられますし、週間天気の表示も可能です。また、フライト情報は、指定の空港の出発便・到着便の状況をリアルタイムで入手できます。

◆きめ細かなモニタリングが可能なecoRoute機能

----:この値段でBluetooth付きが使えるというのは非常に便利ですね。エコ関連機能もnuvi1480以降の新世代モデルの特徴とのことですが。

高橋:nuviのいわゆるエコ機能「ecoRoute」というメニューでひとまとめにされています。まず、自車の市街地燃費と高速燃費、そしておおよその燃料代を予め登録しておくと、走行ごとの燃費記録を蓄積することができ、エコ運転の度合いはグラフや数値でグラフィカルに把握できるというものです。

----:走行中にもリアルタイムに葉っぱの色が変化して「どれだけ環境に優しい運転をしているか」が一目で確認できますね。

高橋:数値の算出はGPSの軌跡情報から出した加減速度合いや速度情報を元にしています。走行終了時には、1ドライブごとの燃焼消費量や平均燃費、CO2の排出量が表示されます。エコドライブ度は40時間ごと・10時間ごと・1時間ごとという区切りで確認できます。

----:アメリカで大ヒットを続けているPNDにしては機能がきめ細かいことに驚きました。GARMINの2010年モデルは、定評のシンプルUIと明快な機能群を軸として、ecoRouteとBluetoothの2大特徴として位置づけていく、ということですね。

高橋:もちろん、GARMINの特徴でもあるアップデートによる機能改善は今後も図っていく予定です。以前もこのインタビューで申し上げましたが、日本からのリクエストがきっかけになった追加機能は増えています。使いやすくてコストパフォーマンスに優れたナビゲーションというGARMINの持ち味を多くの人に使っていただければと思います。

《聞き手 三浦和也》

《まとめ・構成 北島友和》

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