新日本石油は8日、岐阜県の次世代エネルギーインフラ整備構想拠点にある郡上市の複合商業施設「クックラひるがの」に「環境対応マルチエネルギーシステム」を設置したと発表した。
同システムは、太陽光発電、燃料電池、ガスコージェネレーション、蓄電池で構成し、消費電力量に応じて各機器の発電や充放電をコントロールする。同社が開発した創エネモニターシステムにより、電力やお湯の使用状況が店内のモニター画面に表示され、エネルギーを“見える化”した。
通常は、発電した電気を店内設備の一部(タワーホール)や電気自動車用充電器に供給し、不足した場合、系統電源で補い、余剰となった場合、蓄電池に充電する仕組みで、クリーンエネルギーを最大限有効活用する。燃料電池とガスコージェネレーションで作られたお湯は、足湯や融雪に利用される。
系統電源の停電時は、自立運転に切り替わり、蓄電池、太陽光発電、燃料電池が作動して必要最小限の電気とお湯を供給する。
同社は、横浜市に設置した「ENEOS創エネハウス」で太陽光発電や燃料電池、蓄電池などを組み合わせた総合エネルギーシステムの実証実験を実施してきた。今回のシステムは実験を通して得たノウハウを活用して設計し、グループ会社のNIPPOが施工した。
システムを設置したクックラひるがのは、様々な店舗やホテルなどで構成、年間30万人以上が来場する大型商業施設。岐阜県は、次世代エネルギーインフラ整備構想の一拠点として位置付けている。
新日石は、この施設に設置したシステムを使って1年間実証試験を実施し、エネルギー使用量や二酸化炭素(CO2)削減効果を検証し、システムの開発や普及促進する上での検討材料にする。