シンプルな機能とカーナビライクな使い勝手が好評を博しているインクリメントP(iPC)のドコモ端末向けカーナビアプリ「MapFanナビークル」。4月下旬に実施したバージョンアップでは新たにサイクリング向けに自転車モードが追加された。新機能の狙いと、ナビークルユーザーの利用動向について、商品企画を担当した秋本和紀氏が語ってくれた。
◆ユーザーの声を着実に反映
----:2009年11月にバージョン3.7をリリースして、そしてこの4月に自転車モードなどを追加したバージョン3.8が登場しました。およそ半年スパンのバージョンアップとなりました。
秋本:3.7では地図の夜モード表示と北上固定(ノースアップ)に対応しました。どちらもユーザーからの要望をもとにした改良ですが、これ以外にも、音声案内のタイミング改善や地図描画のスピードアップなど細かい部分の改良を実施しました。
----:年末と新学期、そしてゴールデンウィークをまたぐこの時期は携帯電話の需要期ですが、契約者の推移はいかがでしょう。
秋本:年末から3月にかけてはナビークルの契約者数・起動回数も順調に伸びました。ダウンロード数だけではなく、どれだけアクティブで使われているかも注視しています。アクティブ率も徐々にですが上がってきていますから、11月のバージョンアップ効果は出ていると考えています。
◆GPSログ機能は意外な使われ方も
----:カーナビのトップブランドであるパイオニア・カロッツェリアの地図まわりを担当しているiPCが開発したカーナビアプリというとで、やはりカーナビ経験者層が多いイメージがありますが、実際の利用者のプロフィールはいかがですか。
秋本:誰にでも使われるケータイのナビですので、私たちとしてはあくまでもエントリー層がターゲットです。ですが、やはりかなりディープに使い込むユーザーもいますね。昨年夏にGPSのドライブログ機能を追加しましたが、この機能を使って、ブログなどで使い込みレポートをしている方もいらっしゃいます。
----: GPSログというとGARMINのハンドヘルド端末やソニーのGPSロガーなど、ちょっとマニアっぽいガジェットでしたが、ケータイを持ってさえいればナビークルをGPSロガーとして使えますからね。
秋本:スキーのゲレンデ滑走やトレッキングなどに利用した方もいるようです。ただし、ナビークルと常時立ち上げているとバッテリーの消耗も速いのですが…。
----:とはいっても、いまはGPSロガーを買うよりもケータイの予備電池を買ったほう方が安いですからね。
秋本:GPSログの記録にはMicroSDカードが必要ですが、カードもいま非常に安いですね。また、ログは汎用性の高いKMLやGPXでの保存に対応しています。ですので、Google EarthなどのいろいろなPCソフトで取り込んで楽しむことができます。
----:09年秋にリリースした北上固定モードは、カーナビの標準機能といってもいいので、対応の要望が多かったのではないですか。
秋本:そうですね。とりわけ紙地図を使い慣れている人は、北上固定の地図画面は使いやすいでしょうから。また最近のケータイは輝度が高く、夜は明るすぎるという指摘もいただいていました。周囲の明るさに応じて地図表示も変更できるように、夜間表示モードにも対応しました。いずれもモードもユーザー側で自由に選べるようにしています。
行楽シーズンを前に“チャリナビ”投入
----:今回のバージョン3.8では、自転車モードが最大のウリですね。
秋本:社内では“チャリナビ”と呼んでいます。この機能追加も、ユーザーからの要望が多かったことが理由です。ナビークルはもちろんクルマユーザーに向けたアプリですが、昨年の初めあたりからサイクリングユーザーからの要望が増えてきました。そこで、このナビークルを自転車で使っていただこうと思いまして、この行楽シーズンをターゲットとしてリリースしました。
----:自転車モードは、車モードとは誘導経路がどのように異なるのでしょう。
秋本:車モードですと基本的に道幅のある道路を優先的に案内しますが、自転車モードでは細街路も誘導します。また目的地までの所要時間も、自転車の移動速度に合わせた設定となります。さらに自車位置アイコンが自転車になり、地図縮尺は25mスケールが標準になります。
----:移動速度は自転車モード時も車モード時も今回のバージョンアップで変更が可能になりましたね。
秋本:自転車の場合、ユーザーによっては移動速度がだいぶ違うようなので、今回速度が任意で設定できるように機能追加するとともに、自転車だけでなく車でも設定変更を可能としました。
----:たしかに都市部と郊外とでは、移動速度もかなり異なります。変更幅はどのようになっていますか。
秋本:自転車は10 - 25km/h、クルマは一般道で20 - 60km/h、高速道で60 - 100km/hの間で変更できます。
----:速度設定の機能はPNDなどで省かれているものも多いですからね。
◆GPSログとの相乗効果に期待
----:自転車でナビを使う層とはどのようなユーザーなのでしょう。
秋本:2-3年ほど前から海外ブランドのスポーツ自転車人気が高まってきました。さらに最近では散歩感覚で自転車に乗って街をめぐる「ポタリング」がちょっとしたブームです。目当てのカフェやお店へ連れだって自転車で出かけるイメージです。
----:そういった用途には手軽に使えるケータイナビはうってつけですね。
秋本:本格的なスポーツ車でトレーニングする人たちよりも、週末に行き先をなんとなく決めて自転車で出かけるようなサイクリングユーザーをターゲットにしています。
----:自転車モード導入に当たって工夫された部分はありましたか。
秋本:やはり、音声案内のタイミングでしょうか。ナビークルのクルマモードと発話するタイミングが同じだと、自転車の使用時にはちょっと早すぎますから、それを自転車の想定スピードだとどのくらいのタイミングがベストなのか、実地テストを繰り返して調整しました。同様にオートリルート機能の動作タイミングも自転車の速度を考慮して調整しました。
----:音声案内は自転車でも問題はありませんか。
秋本:ケータイのスピーカー音量は小さいので心配していたのですが、必要十分な程度に聞き取れます。さすがに交通量の多い幹線道路や繁華街だと聞きづらいですが、普通の一般道や街中であれば、十分使えます。実地テストでは、洋服の胸ポケットに携帯を閉じた状態で入れても、音声は聞き取れました。
----:目的地検索などの操作・案内系画面は車モードと同じなのですね。
秋本:「設定」の「ナビモード」選択画面で「自転車」に変更したら、目的地設定などは車モードと同じです。もちろん、案内時のラリービューも車ナビと同様に表示されます。
----:先に導入したGPSログ機能は自転車とも相性が良さそうですね。
秋本:私たちもそれを期待しています。週末のサイクリングで街巡りをしたら、どういう経路で訪れたか、確認したくなりますからね。
----:先日、ソニーが自転車ナビモード対応のPND(nav-u NV-U35)をリリースしました。ナビ業界的にも自転車対応はちょっとしたトレンドです。
秋本: 私たちも驚きました。ちょうどナビークルの開発中に、ソニーさんがリリースされたので。業界的にも自転車ユーザーを取り込もうという機運がでているように感じます。その意味で、今回のチャリナビは良いタイミングだと思います。自転車にケータイを固定できるマウントも数社から出ていますし。
----:乗換案内+徒歩ナビの「MapFanアプリ」ではなく、自転車・カーナビの「MapFanナビークル」のほうに、自転車モードを追加した理由は。
秋本:一番の理由は、GPSログ機能や夜間モードなど自転車ナビに相性のよい機能がナビークルに搭載されている点です。それに、実際にナビークルのクルマルートを仮で自転車に使っているユーザーもいたので、今回は「MapFanナビークル」に自転車モードを追加しました。とはいっても、現状では両方のアプリを使っても315円です。30日間無料でアプリが使える「おためしマイメニュー」はまだ継続していますから、「とりあえず試してみよう」と、軽い気持ちで使っていただきたいですね。
----:ナビークルではユーザーの声を反映した着実なバージョンアップを積み重ねていますが、今後の展開はいかがでしょう。
秋本:このところのバージョンアップはユーザーの声の大きいところから順番につぶしてきましたので、提案型のバージョンアップもおこないたいと思います。まだ次のバージョンアップ時期は未定ですが、ナビークルは文字通りカーナビライクな使い勝手が好評ですので、より本格的なナビ機能を実現できればと考えています。
【アプリ概要】
■アクセス
iモード:メニューリスト>生活情報【乗換/地図/交通】>地図・ナビゲーション>iMapFan地図ナビ交通>MapFanナビークル
Yahoo!ケータイ:メニューリスト>交通・グルメ・旅行>地図>ケータイ地図MapFan
※Ver.3.8対象はドコモ端末のみ
■利用料:月額315円
※上記月額料金内で乗換案内・徒歩ナビアプリ「MapFanアプリ」の利用も可能
※「MapFanナビークル」を含む「iMapFan」全ての機能を30日間無料で試用できるキャンペーン(「お試しマイメニュー」)も実施している。
■公式サイト(PC)
MapFanナビークル
http://www.mapfan.com/nv/