日本では『クラウン』と勝負する一方で、海外では欧州セダンと対抗する「インフィニティ」ブランドの顔をもつ『フーガ』。
屋久島の森を再現したフォレストエアコンをはじめ、低燃費走行を促すエコペダル、銀粉をすり込んだ本木目パネルの採用など、自慢の装備のオンパレード。
狭い路地では、周囲の突起物に細心の注意を払う必要性を感じさせるサイズだが、いざ走り出すと、ドライバーの操作にスムーズに反応し、ヒラリと向きを変えてみせる。
一体感のある走りは、ひと周り小さいクルマを操っているように軽快だ。なかでも3.7リットルエンジンにスポーティな走りを追求した仕様の370GT TypeSは、エンジンが掛かったと同時に深みのあるサウンドがお腹の底をくすぐり、心臓を高鳴らせてしまうほどの色気を持ちあわせている。
獰猛な猛禽類が鋭く駆け出すように力強い出足。20インチタイヤながら、ベルベットの絨毯の上を走っているかのように、きめ細やかな足裁きを披露してくれた。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
藤島知子|モータージャーナリスト
幼い頃からのクルマ好きが高じて、2002年からワンメイクレースに挑戦。市販車からフォーミュラカーに至るまで、ジャンルを問わず、さまざまなレースに参加している。2007年にはマツダロードスターレースで女性初のクラス優勝を獲得した経験をもつ。現在はクルマの楽しさを多くの人に伝えようと、自動車専門誌、一般誌、TV、ウェブ媒体を通じて活動中。走り好きの目線と女性の目線の両方向から、カーライフ全般をサポートしている。