ジュネーブモーターショーで発表されたミツビシ『RVR』の欧州仕様『ASX』。欧州で6月頃に発売を予定しているグローバル展開モデルの欧州版ネーミングが意味するものは「アクティブ・スポーツ・クロスオーバー」だ。
国内ではRVR、欧州仕様はASX、北米では『アウトランダー・スポーツ』(未定)とモデル名こそ仕向け地によって異なるが、特徴あるジェットファイターグリルのフロント周りを含めボディ形状は基本的に同一。欧州仕様ではボディ下部(前後バンパー、サイドスカート)がブラックアウトされ、上級感を追求した国内仕様に比べアウトドアテイストが強まっている。
欧州仕様のASXにのみ用意されるクリーンディーゼルエンジンは、三菱重工と三菱自動車の共同開発によるもので、直噴ガソリン「MIVEC」の技術を進化させたオールアルミ製4気筒DOHC16バルブ、コモンレール直噴ディーゼルターボエンジン「1.8リットルDiD-MIVEC」。
MIVECディーゼルエンジンの乗用車への搭載はASXが世界初で、MIVECの特徴である吸気バルブのリフト量とタイミングを可変でコントロールすることにより、始動時に高圧縮が必要なディーゼルエンジンでありながら圧縮比は乗用車用ディーゼルとしてはもっとも低い14.9対1を実現した。
最高出力は150ps/4000rpm、最大トルク300Nm/2000-3000rpmを発揮。排気システムはシンプルな3元触媒とPDFの組み合わせでユーロ5をクリアし、さらにアイドルストップ機能や電動パワステ等を併用することで低燃費とCO2排出量低減をも実現している。ディーゼルモデルに組み合わされるのは6速MTで、FFの他にAWDの選択肢が用意されたが、欧州仕様ガソリンモデルは1.6リットルMIVECで5速MTとFFの組み合わせのみとなる。
低圧縮比の利点を最大限活かし、アルミブロックを採用しても強度を最小限に抑えたシンプルで軽量コンパクトなディーゼルエンジンは、既存のガソリンエンジンの生産設備での生産も可能だ。 1.8リットルDiD-MIVECのディーゼルエンジンは今年度後半にプラットフォームを共有するランサーファミリーにも搭載されるとともに、他モデルの為の2.2リットル版も開発中とのこと。
Cセグメントのなかでも小さなサイズのクロスオーバーという位置付けとなるASX。日産『キャシュカイ』、VW『ティグアン』、フォード『クーガ—』等が欧州市場でのライバルとなりそうだ。