Bセグメントのプレミアムコンパクトで、3ドアボディは色違いルーフ。「ミニのマネじゃん」という声が飛んできそうだ。でもシトロエンのプレミアムライン、DSシリーズの第1弾としてデビューした『DS3』は、「アンチレトロ」というキャッチコピーでもわかるように、対照的なキャラクターだった。
MINIがオリジナルのデザインをモチーフにしたのに対し、DS3がDSからフィードバックしたのは先進性や独創性といった精神だけ。スタイリングも、そこにトッピングしたカラーも、すべてモダンでクール。それが国際試乗会の舞台になったパリに似合っていた。「ミニ」を武器にしたMINIに対し、DS3の武器は「パリ」だといえる。
走りは同じプラットフォームを使う新型『C3』よりスポーティ。でも乗り心地は固めながら落ち着きがあり、クィックなステアリングに続いて訪れるコーナリングは過度にキビキビしていない。基本が同じ1.6リットル直噴ターボを積むライバルより大人っぽいのだ。
個性明快なライバルに比べると理解しにくい部分もあるけれど、一度魅力を知ってしまうと抜け出せないという点はシトロエンそのものといえるかもしれない。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
森口将之|モータージャーナリスト
試乗会以外でヨーロッパに足を運ぶことも多く、自動車以外を含めた欧州の交通事情にも精通している。雑誌、インターネット、ラジオなどさまざまなメディアで活動中。著書に『クルマ社会のリ・デザイン』(共著)、『パリ流 環境社会への挑戦』など。