アストンマーチンは16日、レース専用車の「ヴァンテージGT4」を使用して、欧州で4つのレースプログラムを開催すると発表した。
ヴァンテージGT4は、2008年11月に発表されたレース専用マシンで、『ヴァンテージN24』の後継車に当たる。ヴァンテージGT4は、市販モデルの『V8ヴァンテージ』をベースに開発された。
V8ヴァンテージは2008年、V型8気筒エンジンの排気量を4.3リットルから4.7リットルに拡大するなどのマイナーチェンジを実施。ヴァンテージGT4は、この4.7リットル版をベースに開発され、FIA(国際自動車連盟)のGT4レギュレーションを満たす。すでに全世界のモータースポーツ関係者に、60台以上がデリバリーされている。
ヴァンテージGT4には、徹底した軽量化が施されており、室内は内装材や快適装備を大胆に省略。ロールケージ、レカロ製フルバケットシート、サベルト製6点式シートベルト、スウェード製のステアリングホイールなど、走りに必要な装備だけが採用された。この結果、300kgの軽量化に成功し、ウェイトは1330kgに抑えられた。
エンジンスペックは未公表だが、N24がベース車に対して最大出力を30ps引き上げた410psだったことから、GT4はベース車の426psを上回る450psオーバーの実力と推測できる。
足回りはブレーキやサスペンションが強化されるほか、タイヤはヨコハマ製「A048-R」を装備。トランスミッションは、6速MTか6速2ペダルMT「スポーツシフト」が選択できる。英国での価格は、9万6645ポンド(約1330万円)からだ。
アストンマーチンは2010年、このヴァンテージGT4を使用して、欧州で4つのレースプログラムを実施。「英国GT4チャレンジ」「ニュルブルクリンクトロフィ」「24時間チャレンジ」「GT4カップ」だ。
英国GT4チャレンジは、4月から英国内で全6戦を開催。ニュルブルクリンクトロフィは、3月からドイツで10レースを行う。24時間チャレンジは、1月のドバイ24時間に続き、5月のニュルブルクリンク24時間耐久など3戦にエントリー。GT4カップはFIA GT1世界選手権やFIA GT3選手権のサポートレースとして、5月にフランスで開幕する。
アストンマーチンは4種類のレースに車両を供給するとともに、賞金などの資金面もサポート。モータースポーツ参戦によって、ブランドイメージを高める戦略だ。