【メルセデス・ベンツ E250 CGI アバンギャルド 試乗】走りの上質感と買い得感に優れる…萩原秀輝

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メルセデス・ベンツ BlueEFFICIENCY テクノロジー
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いよいよ本命の登場

メルセデス・ベンツの『Eクラス』といえば、アッパーミドルクラスの高級サルーンでは定番中の定番となるプレミアム系ドイツ車だ。市場がEクラスに期待するのも、そうした位置づけにふさわしい快適性であることは疑う余地さえない。そのEクラスに、『E250 CGIブルーエフィシェンシー』が追加された。通常のガソリンエンジンを搭載した輸入車として初となるエコカー減税対象車(アバンギャルド)となることでも注目を集めている。

そもそも、ブルーエフィシェンシーとは燃費の向上やCO2の排出量削減を目指したメルセデス・ベンツの環境対応技術を現わす言葉だ。E250CGIの場合、その技術を象徴するのが新開発の1.8リットル直列4気筒直噴ターボエンジンということになる。ハイブリッド技術では日本車に先行を許すものの、ガソリンエンジンでは数々の先進的な環境対応技術を投入しているドイツ車のなかで、いよいよ本命の登場といった感がある。

◆高級サルーンと直4・1.8リットルとの組み合わせはいかに

ただ、そのためにエンジンの小型軽量化と小排気量化を図るという志の高さは理解できても「高級サルーンのEクラスが1.8リットルの直列4気筒エンジンでいいの?」という心配が真っ先に思い浮かぶはずだ。レポーター自身の関心もそこにあった。

さっそく、エンジンをスタート。一瞬の身震いの後でアイドリング状態に入るが、多気筒エンジンと変わらないスムースさが確かめられる。小排気量の4気筒エンジンで認められがちなステアリングやシートを通してシビレるような微振動が伝わってくることがなく、エンジン音さえほとんど聞こえてこなかった。

◆低回転でのネバリ強さと高回転でのパンチ力

今回の試乗の舞台となった山岳路では、1.8リットルという排気量から想像する性能以上の力強さが実感できた。あえてアクセルを深く踏み込まずに走らせると、5速ATは2000回転前後でシフトアップ(Dレンジ)を繰り返す。そのまま上り勾配にさしかかっても、4速1000回転台が保たれるといったネバリ強ささえ備えている。直噴システムの採用によりターボチャージャーを組み合わせても圧縮比を高めに設定することが可能となり、過給効果が十分に立ち上がらない回転域でエンジン自体の性能が損なわれていないからだ。

さらに、アクセルをやや踏みぎみにすれば2000回転台の半ばからトルクが明らかに盛り上がってくる。その力強さには、2.5リットルのV型6気筒エンジンを搭載していた従来モデルと比べて最大トルクが26%増しとなる310Nm(31.6kgm)を発揮するという数値が納得できる余裕を感じる。しかも、エンジン回転数が上昇しても騒がしさを伴うことがない。

なおかつ、試乗車はアバンギャルドだったため走りの性能を際立たせるAMGスタイリングパッケージを装備。ATの制御をギア固定のMモードに切り替え、ステアリングの裏側にあるパドルでマニュアル操作すると高回転域を維持しながらスポーティな走りが楽しめる。直列4気筒の多くは5000回転台でこもり音を発するが、このエンジンはそれが気にならない。アクセルを踏み続ければ、低いギアならタコメーターの中で針がゼブラゾーンを切り裂く勢いで6300回転まで一気に吹き上がる。

◆ベースグレードとの価格差を減税分がかなり埋める

しかも、E250CGIは小型軽量な直列4気筒エンジンを搭載するためフロントの荷重が少なめなのだ。車検証に記載された軸重を基に計算すると前後重量配分は52:48となり、スポーティセダンと呼ぶにふさわしいバランスを得ている。それだけに、フロント回りの重さを意識することがなく、コーナーの入り口ではステアリング操作に対してクルマの鼻先がスッと小気味よく向きを変える。そして、コーナーの立ち上がりではアクセルを踏み込むとエンジンは軽快な吹き上がりを示した。

ちなみに、取材に同行したCクラスの250CGIブルーエフィシェンシー ステーションワゴン アバンギャルドも同じエンジンを搭載している。車重がEクラスよりも軽いだけに加速に鋭さを感じ、走りの刺激という意味ではCクラスの方が勝っている。ただ、走りの上質感という意味ではEクラスならではの魅力を感じる。18インチのワイドなタイヤ&ホイールを履いているが、サスペンションの設定こそ引き締まった感じがするものの乗り心地の硬さを意識することはなかった。

つまり、最初に記したリポーターの「……1.8リットルの直列4気筒エンジンでいいの?」という心配は徒労に終わったわけだ。ところで、輸入車として初となるエコカー減税対象車となることについては、その前提となる平成22年度燃費基準が車両重量と深くかかわるだけに、アバンギャルドの装備が充実していることが背景にある。装備の充実度に対するベースモデルのE250CGIブルーエフィシェンシーとの価格差をエコカー減税分がかなり埋めるために買い得感はある。

《萩原秀輝》

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