米国のブライトオートモビル社は10月20日、プラグインハイブリッド商用車、『IDEA』の性能をアップデートすると発表した。モーター単独での走行距離を48kmから64kmに拡大する。
インディアナ州に本社を置くブライトオートモビル社は、もともとバッテリーを手がけるメーカー。GM初のEVとして1996年に登場した『EV1』のバッテリー開発に参画したほか、クライスラーやジョンソンコントロールなど、大手メーカーとも共同事業を行っている。
2009年4月に初公開されたIDEAは、米国の企業や官公庁への需要を狙って開発された最大積載量1tクラスのLCV(ライトコマーシャルビークル)。その開発には大手運送会社など約50社の意見が生かされた。
2次電池やモーター、エンジンなど、ハイブリッドシステムの概要は未公表だが、1回の充電で最大48km走行できるモーターを搭載し、バッテリー残量が少なくなると、充電専用のエンジンが始動。ジェネレーターを回してモーターに電力を供給するとともに、バッテリーの充電を行う。
ボディは空気抵抗を極力減らしたデザイン。サイドパネルやリアフェンダーの形状に、エアロダイナミクス研究の成果が見て取れる。空気抵抗係数を示すCd値は0.30という異例の低さ。タイヤも低転がり抵抗タイプが装着された。軽量化にも取り組み、アルミなどの素材を積極導入して、車重は約1450kgに抑える。ブライト社によると、同クラスの平均と比較して約700kgも軽いという。
今回、ブライト社はIDEAのアップデートを発表。2次電池として、蓄電容量13kWhのリチウムイオンバッテリーを採用。モーター単独での走行距離を48kmから64kmに拡大させた。これは運送会社など、大口フリートユーザーの声を反映させた結果だという。
また、IDEAの燃費についてブライト社は、当初100MPG(約42.5km/リットル)と公表していたが、実際の走行状況に照らし合わせると、15.3 - 17km/リットルになると修正。GMが開発中のシボレー『ボルト』の燃費に関して、230MPG(約97.8km/リットル)と発表し物議を醸したように、モーター単独で走行する距離の長いプラグインハイブリッド車には、新しい燃費表示基準の策定が求められる。
IDEAの生産は2012年末までにスタート。年間5万台規模で量産し、2013年初頭に発売される。IDEAの生産に関連して、約5000人の新規雇用も創出。ブライト社は「1台当たりのガソリン消費量は、年間3万2000km走行するとして、5680リットル節約。CO2排出量も年間で最大16t削減できる」と胸を張る。
米国政府が支給する低公害車に対する最大7500ドル(約68万円)の補助金も、IDEAにとっては追い風。米国に物流革命を起こすか注目される。