『Q5』に乗ると、SUVは「スーパーカー」であるという思いを強くする。スポーツカーのようなオンロード性能、スポーツカーには無理なオフロード性能、セダンの居住性とワゴンの積載性、視点の高さや独自のプレミアム感など、マルチな性能を備えたクルマの理想型、「スーパー」な「カー」だ。特にQ5はボディサイズもまずまずコンパクトだから日常性もあり、もはや無敵の存在といってもいい。今、どんなクルマがいい? と聞かれたら、迷わずお勧めしたい。迷わず? いや、昨今はハイブリッド車という厄介な存在があるから、なかなか迷わずとはいかない。「Q5 2.0TFSIクワトロ」の燃費は元気に走ると7km/リットル程度(10・15モード燃費は 10.6km/リットル)。素晴らしい動力性能やクワトロであることを思えば特に悪くもないが、価格的に近いレクサス『RX450h』が10km/リットル前後を下らない(10・15モード燃費は18.8km/リットル)という事実は無視できない。チョイ乗りしたQ5のV6モデルなど、ゆったり感はさすがに2.0TFSIよりタップリあってRXにも負けないと思ったが、こと相手がハイブリッドの450hとなると燃費でははるかに負けそうだ。しかし誤解を恐れず言えば「エコのことばかり言うのであれば、クルマの性能を云々すること自体ナンセンス」。エコとクルマは根本的に対立するのだから。Q5は2リットル直噴ターボや7速DCTといった最新のパワートレインで、純ガソリン車としてはクラストップの低燃費や低CO2排出量を達成している。ハイブリッドでなければクルマにあらず、といった極端な発想はやめ、エコ性能が十分高まっていることを評価したい。輸入車が今年に入って平均で3割近く販売台数を落としている中、アウディは1割弱のダウンで済んでおり、結果として輸入車市場でシェアを拡大している。確かにQ5は運転席左足もとがやや狭いということ以外、欠点らしいものが見あたらないほど素晴らしくよくできている。さらにシェア拡大を目指すというアウディジャパンの強気の姿勢も分かるというものだ。■5つ星評価パッケージング:★★★★インテリア/居住性:★★★パワーソース:★★★★★フットワーク:★★★★★オススメ度:★★★★★水野誠志朗|自動車ライター97年に新車試乗記を中心とするウェブマガジン「MOTOR DAYS」を立ち上げ、以来毎週試乗記をアップし、現在550台を超える試乗記を公開。「クルマはやがてはロボットになる」として、走りだけでなく利便性・安全・エコの面から新たなクルマのあり方を提言している。名古屋市在住。
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