BMWの新型『Z4』注目のアイテムといえば新たに導入されたリトラクタブルハードトップだ。ルーフはアルミ製で作られておりクローズ時にルーフがきしむようなことはなく、閉じている際はクーペのような快適性の高さを体感することができた。
メルセデスベンツの初代『SLK』が97年にバリオルーフと呼ばれる折りたたみ式の電動ハードトップを採用して以来、徐々に電動ハードトップを採用するオープンカーが増え始め、今ではこちらのほうが主流派になっている。
初代Z4も後半はソフトトップが販売上のネックとなるケースが多かったが、遂に念願のリトラクタブルハードトップが導入された。しかも新型Z4のリトラクタブルハードトップは後発ということもあり実に上手くできている。
SLKなどの電動ハードトップは二枚貝のようにふたつに折りたたまれてトランクに格納されることが多いが、Z4のリトラクタブルハードトップは最初にリヤガラス部分がルーフ上部に重なり、そしてその重なったユニットがそのまま後退してトランクに沈み込むように格納される。
このように格納することで格納時の高さを抑えることができ、なおかつルーフ部分が平面的なデザインになることも防げるのでクローズ時も美しいスタイリングを作り上げることができるのだ。複雑な動作を行いながらも開閉に掛かる時間は約20秒と、電動ハードトップとしては比較的速いタイムをマークしているのもさすがだ。
オープン時の開放感も高く、シート後方のウインドディフレクターを立てて両サイドの窓を閉めておけば、高速走行時でも風の巻き込みは少ないので幅広いシーンで快適なオープンエアを満喫することができる。
オープンにして重量物が後方に移動しても、ボディの剛性感や走りのバランスが大きく変わらないのも美点だ。走りや機能性にこだわるBMWらしく、ネガティブな部分が全くない秀逸なリトラクタブルハードトップを作り上げることに成功したといえるだろう。