オリジナリティの高さとフルモデルチェンジの上手さのふたつで、今度の『キューブ』は大いに魅力的だ。突飛な非対称リアウインドウばかりに目がいってしまうが、キューブの真骨頂はインテリアにある。造形、配色、素材それぞれが高いレベルでバランスをとっていて、センスがいいカフェで寛いでいるような心地良さがある。Aピラーの形状と運転姿勢の関係についてもよく吟味されており、運転しやすく、景色が違って見えてくる。旧型の魅力とキャラクターを活かしつつ、新しい試みを巧みに織り込むことに成功しているのも、魅力につながっている。変え過ぎと守り過ぎが多い日本車にあって、希有な例。 デザインに、ファンシー趣味やヤンキーテイストが皆無な貴重な日本車でもある。フジヤマ&ゲイシャではない、現代のニッポンの良質なデザインとカルチャーを体現している。旧型では、若者中心に訴求されていたが、新型は世代や性別などを越えて、あらゆる人におススメできる。■5つ星評価パッケージング:★★★★☆インテリア/居住性:★★★★★パワーソース:★★★☆☆フットワーク:★★★☆☆オススメ度:★★★★★金子浩久|モータリングライター1961年東京生まれ。著書に、『10年10万キロストーリー』、『セナと日本人』、『地球自動車旅行』、『ニッポン・ミニ・ストーリー』、『レクサスのジレンマ』、『力説自動車』(共著)などがある。