ホンダの燃料電池車『FCXクラリティ』の開発責任者、藤本幸人氏は燃料電池車の普及について「水素供給インフラは、最大のネックのひとつ」という。
「ホンダは太陽電池を使った再生可能エネルギーベースの水素供給スタンドを開発していますが、本格的なインフラ整備となると、自動車メーカー1社でどうにかなるレベルのものではない」
「FCXクラリティは、今後の燃料電池車のベンチマークにしてもらえるだけの性能と商品力を持っていると自負しています。世界中の政府、エネルギー業界、ユーザーなどクルマに関わる人々がFCXクラリティを見て『こういうクルマが将来必要だ』と思ってくれれば、それがインフラ整備への第一歩を促す力になるのではないか。そう期待しています」
ホンダはすでに、自社開発の銅・インジウム・ガリウム・セレン太陽電池を使用した、再生可能エネルギーベースの水素供給スタンドの運用を開始している。スタンド1拠点につき、1台の燃料電池車が走行するのに十分な水素を発生されられることが、これまでの運用実績で明らかになっている。が、太陽光スタンドは価格が高いうえ、どこにでも設置できるものではない。
燃料電池車の普及のカギはやはり、社会基盤として水素供給インフラが整備されることだ。すでに世界各国で水素社会の実現に向けた社会実験が行われている。ホンダはFCXクラリティがそうした動きを後押しすることを期待しているのだ。