小さいのに広く、小回りが利いて、直進性が良く、乗り心地もいい。だから一般的なクルマの評価軸でいえば、良くできたコンパクトカーといえると思う。
排気量は3気筒1リットルでCVTと組み合わされており加速性能は必要十分。操縦性も過敏にならない程度に機敏。カーブでの安定感も高い。この手の全長の短いクルマは得てして直進が苦手なのだが、それも上手に克服して高速道路を100km/hで走るならなんの不安もなかった。
蛇足だが欧州仕様のディーゼル+6速MTがパワーフルかつスムーズで素晴らしく、できれば日本導入を検討して欲しいと思った。
気になったのは、シートリフト機能やハンドルのテレスコピック(前後調整)機能がついていなかったこと。
というわけで、クルマとしての出来は予想以上によかったのだけれど、なんでこのクルマ=iQを大きく見せたかったのか良くわからない。トヨタ流のマーケットリサーチの結果なのかもしれないが、これだけしっかりと仕上がっているのなら、逆にできるだけ小さく見せたほうがクルマに乗り込んだときのインパクトは大きいし、「コンパクトなクルマを作る」というコンセプトにマッチしてIQ=インテリジェンスなイメージをより強く打ち出せるのではないかと思うのだが…。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア:★★★★☆
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★☆
※☆は0.5
斎藤聡|フリーランス・ライター
学生時代に自動車雑誌の出版社でアルバイトを始め、それが高じて自動車雑誌編集部員となり、その後フリーの自動車ライターとなって現在に至る。クルマの「走る(走らせる)」という点に興味があり、走らせることの楽しさ、面白さを中心とした試乗レポートが多い。守備範囲は、軽自動車からセダン、RV、スポーツカー、チューニングカーまでなんでも。また、安全運転にも興味があり、安全運転スクールのインストラクターも務める。COTY選考委員。