【池原照雄の単眼複眼】合理化策の協力提案で鉄連に戸惑い

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自工会は鋼材種類の削減などを想定

原材料費高騰対策の一環として、日本自動車工業会と日本鉄鋼連盟が協力して進めようとしている合理化策が難航している。鉄連側は、趣旨には賛同できるものの、個々の企業の要望を集約するのは難しいと戸惑っているようだ。

団体間主導で進めるよりも、個別取引のモデルケースを参考にしながら、双方のメリットを追及するのが現実的かもしれない。

この合理化策は、鋼材価格の急騰に対処するため、4月に自工会が鉄連に協力を申し入れていたものだ。

当時、自工会会長だった張富士夫トヨタ自動車会長は、自工会側が対処するテーマとして「鋼材の種類の削減や、発注の際の間隔・ロットなどがあるのかなと考えている」と述べていた。
生産や在庫の管理業務簡素化に、ユーザー業界としてできるものがあれば協力したいという趣旨だ。次のステップとして、鉄連からの要望を踏まえて対処策を協議することになっている。

◆ノウハウに触れるものも…

ただ、鉄連からの要望はまだ届いていない。自動車業界関係者によると、「個々の鉄鋼メーカーのノウハウに触れるものもあって、(要望のとりまとめが)難航しているようだ」という。

確かに、多品種少量生産は日本の鉄鋼メーカーの得意とするところであり、それによって顧客を獲得しているケースもあろう。

合併や資本提携によってグループ化が進んだ鉄鋼業界だが、最大の顧客である自動車向けのビジネスとなると、個々の企業の思惑も交錯する。また、業界団体で踏み込むと、競争制限の恐れも出てくる微妙なテーマでもある。

◆鋼板の種類を2割削減したトヨタ

鋼材の価格改定では、トヨタと新日本製鉄の交渉で相場が形成される。今回の合理化策での協力も、個別のケースを参照しながら自動車と鉄鋼メーカーが個々に進めるのが現実的だ。自工会の当初の狙いも、あくまで個別取り組みを後押しするところにある。

トヨタはここ数年で、鋼材の品種削減に取り組んできた。車体に使われる鋼板については今年春までに、従来約600種類あったものを2割程度削減している。1品種当たりの発注量を増やすことでコスト低減につなげる狙いだ。

他社はトヨタほど使用品種が多いことはないだろうが、こうした取り組みは両業界の各社に参考になるはずだ。

《池原照雄》

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