「人とくるまのテクノロジー展2008」(5月21 - 23日、パシフィコ横浜)のフォーラム『感性価値時代のデザインと企業ブランド』で、本田技術研究所四輪開発センターの海老澤伸樹常務執行役員は、「Emotional Technology」というテーマで講演を行った。
「ホンダ・デザインのDNA」である「エモーショナル性」と「機能性」の2要素について海老澤氏は、「1960年代、エモーショナル性を追求して『S600』が、機能性を求めて『T360』が誕生した。そのDNAは脈々と受け継がれ、80年代の『NSX』『オデッセイ』、21世紀に入って『ステップワゴン』『フィット』『シビック』などへ発展していった」と説明した。
ホンダは技術の進化にあわせ、車体構成要素を小さくしつつ室内空間を大きくする「Man Maximum・Mecha Minimum」というコンセプトを80年代から貫いてきたが、今後は“人に優しい”という意味を含めた「Efficient Mind maximum・Mecha Minimum」なる方向性を持って開発に取り組んでいくという。この新しい考え方で生まれたクルマが、今2008年8月に北米でリリースされる『FCXクラリティ』だと海老澤氏は語る。
「燃料電池車FCXクラリティは、シビックで実績のある『セダンなのにモノフォルム』という表現方法に則っている。FCスタックを床下のセンターコンソールに縦に配置しスペース効率を高め、低全高を実現。さらにノーズを短くしホイールベースを長くとることでゆったり安定感のあるデザインを生むことができた」と海老澤氏。
また、同社のDNAについて海老澤氏は「今後も新しい技術によってクルマのデザインも変わってくるだろう。ただし、昔のように新技術が新たなデザインに単純につながるのではなく、そこに温かさや優しさなどをふまえたクルマづくりが必要となってくる。そして、エモーショナルと機能性というホンダDNAそのものは時代によって変わることはない」と。
FCXクラリティは、日本では本08年度秋からリリースされる予定。