『LS600h』は日本の自動車メーカーが到達したひとつの地平を示すクルマだ。
圧倒的なパフォーマンスによる余裕の走りという高級車ならではの魅力をしっかり確保したうえで、圧倒的な静粛性や環境性能といった、これまでの既存の高級車にはない新しい価値を提示した点で、欧米の高級車とははっきり異なるクルマになっている。
市街地をEVモードで走るならエンジン音はまったく聞こえないし、高速道路を10km/hでクルージングするときの回転数も1000〜1200rpmほどに抑えられている。これによる静粛性の高さはレクサスならではの価値である。
ただ、LS600hも万能ではない。ハイブリッドシステムを採用することで300kg近く重くなり、価格も大幅に高くなった。今後はこうしたデメリットをどれだけ少なくできるかが課題になるだろう。
後席に乗るなら後席セパレートシートがよいが、自分で運転するならバージョンSがいい。
■5つ星評価
パッケージング:★★☆☆☆
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★☆☆
オススメ度:★★☆☆☆
松下 宏| 自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。