東京モーターショーが盛り上がらなかった理由 |
福田---これらの中から、これはベスト10に入るだろう、落ちるだろうと絞っていきましょう。順位はともかく、トヨタ世界一。芸能人は入らないな。モーターショーは入る。GT-Rも含めてね。
石田---なぜGT-Rを見たいかという理由もなく、みんな日産ブースへ行った。ショーのテーマは環境なんだけど、盛り上がったのはGT-R。GT-R以外に目玉がなかった。
三浦---原因はトヨタだよなあ。GT-Rと真っ向勝負して負けるのを避けた。
福田---商業車や部品コーナーは見どころが多かった。まじめに見ようという人でにぎわっていた。バスの展示車両前にも長蛇の列ができていた。
石田---入場者数は143万人、前回よりも8万人減ですか。理由は休日が1日少なかったことと、雨が4回降ったこと。前回は曇りのち雨が1日。それと……。
高木---アンゼンジャー・ショーがなかったこと(笑)。
福田---当日券は平日午後3時から200円安くなるんだけど、200円のために2時半頃からみんな並ぶんだよね。だからもっと安くすれば人はもっと来るよ、夜も遅くまで開けたらいいと思うんだ。
三浦---首都高距離別料金は提案。決まってないよ。「距離別料金」って首都高寄りのいい方だよね。値上げと距離別値引きがセットなんだ。ETCを持ってる人だけ距離別料金。
福田---あわてて自分の車にETCつけちゃったよ。
三浦---ETC利用率70%はないね。結果でしょう。70%になったからどうなるって話じゃないし。
高木---そう言うなら電波のITS専用帯域というのも、何かが始まったわけではないですよ。
三浦---国を挙げてITS立国しようという意思表示。いままで民間だけだったのが、電波行政がITSにコミットしてきた。下位だと思うけどベスト10に入れたいなあ。
北島---ニュースといったらカーナビ地図のオンライン更新のほうですね。
福田---そこまでしないと走れないかな。
北島---道案内プラスのサービスですね。カーナビベースの安全機能を提供するのに、地図が古いとたとえば交差点前でアラートを出せない。
福田---なるほど。原油高騰はベスト10に入る。
石田---プラグインハイブリッド、入る。環境対応パワートレイン、入る。
三浦---環境対応パワートレインというのは、出る出ると2001年ぐらいから言ってたのが、今年は各社とも何年に出す、とタイムスケジュールを言ってきた。フランクフルトモーターショーは、ダイムラーにとって単独になって初めてのモーターショーで、気合いが入っていた。環境パワートレインのビジョンを語るのと、ロードマップを示すのと、両方をやった。クライスラーといっしょになって量の世界一を目指したんですが、分離して質での世界一をめざす。
石田---プラグインハイブリッドと環境パワートレインはセットになるのでは?
三浦---自動車の21世紀は2010年から始まる。この10年はトヨタの独走だったんだけど、ダイムラーと比べてがっかりしたのは、量で世界一を達成したトヨタの東京モーターショーでのプレゼンテーション。すでに質でもいいものがあるのに、意識しすぎた変にまじめなコンセプトカーを出してきた。ダイムラーは、今現在持っていないんですよ。
福田---ダイハツ軽トップはベスト10に入るけど、スズキが大人の対応で勝ちを譲ったようなところがある。
三浦---スズキはインド市場のシェアを守るのが優先。『キザシ』コンセプトを出して、高級車移行を狙っている。みんなが持ってる安い車のブランドにはなりたくないんだ。中国でVWがそれで失敗した。
福田---インドの経済発展が先か、スズキの商品開発が先か、ということだね。
■このあたりが当落ライン
■座談会はこれでおしまいに
■東京モーターショーが盛り上がらなかった理由
■車の「魅力」は幻想か?
■並べようによっては別の意味が…
《文責:高木啓》