【フィアット『Blue&Me』インタビュー】「PNDと連携して低価格テレマを展開」フィアット社ポラート氏

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フィアットが欧州で展開する車載情報システム『フィアット・ブルー・アンド・ミー(Fiat Blue&Me)』。今年のフランクフルトモーターショーで新型フィアット・チンクエチェントには新バージョン『Blue&Me Map』プロトタイプが装着されていた。この新バージョンはテレマティクス車載機とPNDの連携という面で注目が集まっている。 Blue&Meについてフィアット・オートの商品戦略マネージャー、サンドラ・ポラート氏に話を聞いた。

---『Blue&Me』の特徴は?

ポラート) フィアットがマイクロソフトと共同で開発した車載情報システムです。基本はハンズフリーで携帯電話での通話やメディアプレイヤーの操作を行うもので、その他テレマティクスシステムにも対応している。車載情報システムとして開発していることから、長い自動車の寿命にも対応出来るよう、他の携帯ディバイスと比べて拡張性が高い点が特徴だ。

--- 『Blue&Me』に対するユーザーの反響は?

ポラート) 基本の『Blue&Me』を昨年のジュネーブモーターショーで発表し、直後の2006年3月から、フィアット・グランデプント、ブラーボ、アルファロメオ・ブレラ、159、スパイダー等のモデルに250ユーロから300ユーロでオプション設定している。『Blue&Me Nav』も現在フィアット・ブラーボに500ユーロ、アルファ159に600ユーロでオプション設定している。ヨーロッパでは携帯電話を手に持って運転することが厳しく規制されていることもあり、携帯電話やメディアプレイヤーをハンズフリーで操作できる『Blue&Me』は日常のツールとして非常に有効。テキストメールを音声変換で読み上げたり、ボイスコマンドで携帯電話のアドレス帳検索やデジタルプレイヤーの選曲をしたりする機能も支持されている。

---フィアットグループ内でのシステム普及率は?

ポラート) 現在『Blue&Me』はフィアット、アルファロメオ、ランチア、その他グループの商業車や大型トラックにも採用されており、採用車全モデル平均の設定率は20%。モデルによっては40%と、カーオーディオやアルミホイール、メタリックペイントに次ぐ装着率。新モデルのチンクエチェントではさらに高い60%を見込んでいる。

---今回、最新のプロトタイプが発表されたが、ここまでの開発の経緯は?

ポラート) 現段階で開発は3ステップまで進んだ。第一段階は基本となる『Blue&Me』で、USBもしくはブルートゥースを介し、ステアリング上のスイッチとマイクの音声認識機能によるボイスオペレートでメディアプレイヤーや携帯電話等を操作するもの。第二段階が『Blue&Me Nav』と呼ぶ製品で、基本機能にターンバイターンの車載ナビを組み合わせたもの。そして第3段階が今回発表した『Blue&Me Map』。これはGPSを内蔵したPND(パーソナル ナビゲーション ディバイス)タイプの携帯ナビゲーションと連携する。

---現行システムである『Blue&Me Nav』のテレマティクスサービスの現状は?

ポラート) 基本機能に車載(固定)ナビを組み合わせた『Blue&Me Nav』は、音声とナビ本体に表示される地図の他、メーターパネル内にもターンバイターンで進路を示すことでナビゲーションを行う。現時点では車載システムだけで完結するナビゲーション機能で外部との通信連携をしていないが、フィアットがプロバイダーとコントラクトを結ぶことで、ナビのGPSを用いてSOSエマージェンシー機能へと拡張することも可能だ。故障時のロードサイドアシストや事故の緊急通報の際も自車の位置情報を迅速かつ的確に伝えることもできるし、盗難時の車両リカバリーシステムとしての効果も期待されている。また結果として、自動車保険、特に盗難・火災保険の掛け金減額というユーザーのメリットも生まれる。システム自体の月額の基本料金は不要で、「SOSエマージェンシー」を利用した場合のみ、回数に応じて課金するシステムをとっている。

---では今回発表された『Blue&Me Map』の特徴は?

ポラート) 『Blue&Me Map』は、GPS内蔵のPND(パーソナルナビゲーションデバイス)タイプの携帯ナビゲーションと連携するのが特徴で、PND部は着脱可能。ダッシュボード中央に組み込まれた専用ホルダーで、走行中に急ブレーキ等の衝撃が加わってもPNDが外れてしまうことがないようにしっかりと固定するとともに、電源供給のベースとなる。全ての情報通信はブルートゥースを介し、走行中はPNDにタッチすることなくほとんどの操作をステアリング上のスイッチとボイスコマンドで行うことができる。これはメーターパネル内にターンバイターン進路表示をした『Blue&Me Nav』と同様、ドライバーが運転に集中できる為の工夫だ。自動車に掲載するデバイスには運転中の安全が最重要事項との考えを徹底した。今後、「Eco Drive」というアプリケーションを加えることによって燃費やCO2排出量などのデータを『Blue&Me Map』装着車同士で共有することも可能で、地域や会社、団体などで環境対策に取り組むことを考えている。年内に価格を発表できる予定だが現在の『Blue&Me Nav』の500 - 600ユーロから大きく変わらない価格を設定できれば競争力があるだろう。

---『Blue&Me』はマイクロソフトとの共同開発だが、パートナーシップを結んだきっかけは?

ポラート) フィアットが次世代の車載テレマティックスとして安くて使いやすいプラットフォームを探していたのと同じ時期に、マイクロソフトが自動車市場に進出するための開発を行っており、両者のニーズが合致した。マイクロソフトは単なるサプライヤーではなく、2年に及ぶ長い時間をかけて共同開発を行ったパートナーだ。

---Windowsのロゴがステアリングボタンや、コンソールのUSBソケットの脇にプリントされているが、これは同グループのマセラティやフェラーリに『Blue&Me』が採用された場合も同じか?

ポラート) マセラティやフェラーリのような高価なクルマに『Blue&Me』を採用するかどうかという問題とWindowsロゴを見せるかどうかは別の問題。それぞれブランドの判断がある。一方、現在のフィアット、アルファロメオ、ランチアの各ブランドでは、Windowsロゴが継続性や拡張性をユーザーにイメージさせると判断して表示している。

---共同開発したプラットフォームだが、マイクロソフトは他のメーカーにも採用を促している。

ポラート) この分野は進化が早い。成功を他社が追うのは当然のこと。それよりも最新機能とサービスをユーザーに提供できるポジションが重要だ。同時にユーザーに対して常に啓蒙し続けなければならない。

---今回展示されているPNDのメーカーは? 他メーカーの参入は?

ポラート) フィアット『500』に搭載した『Blue&Me Map』プロトタイプは、マグネティマレリ社が『Blue&Me Map』用に開発した専用のPND。プロバイダーを介して各地の最新の地図情報やPOIなどをダウンロードすることが出来る。しかしこのシステムで固定するわけではなく、将来的に他の会社が『Blue&Me Map』に対応するPND機種を作れば装着することも可能だ。

---『Blue&Me』のグローバル戦略は?

『Blue&Me』の音声認識とテキストは現在9か国語に対応しており、ヨーロッパ以外でもトルコや南米などでフィアットグループの車に装着されている。アルファベット以外の言語対応も開発中だが、現行の課題は大量のメモリーを必要とする日本語や中国語等の漢字変換対応。先の上海オートショーではフィアット『ブラーボ』に装着した『Blue&Me』のデモンストレーションに大きな反響があった。日本のカーナビ事情は別だが、要望があれば検討してゆきたい。

《ケニー中嶋》

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