出光興産は、東芝燃料電池システムが開発した市販灯油を使用する家庭用燃料電池システムを2008年度に市場導入すると発表した。
同社は、これまで東芝からLPG型家庭用燃料電池システムの提供を受けて、大規模実証事業に参画している。一方で、市販灯油を燃料とした燃料電池システムの商業化に向けて、東芝に水素製造技術の提供を行ってきた。
今回、東芝では、LPG型家庭用燃料電池システムを改良して、市販灯油型の燃料電池システムの開発に成功した。これにより出光興産は2008年度に東芝製の灯油型家庭用燃料電池システムを10台程度、一般家庭に設置する。実稼動による運転データを取得して、今後の商業化に向けた取り組みを推進する。
この燃料電池の燃料となる市販灯油は、一般家庭などで使う灯油で、インフラが全国に整備されているために利便性が高く、また他の燃料に比べて経済性の面から有利で、燃料電池向けの燃料として有望視されている。しかし灯油は、都市ガスなどに比べて炭素数が多く、硫黄分も多く含まれているため、燃料電池の燃料として使用するには、高度な脱硫、改質技術を必要だ。出光興産は、世界で唯一、実証試験レベルで、市販灯油から水素をつくり出す技術を持つ。
東芝と出光興産は今後、他の石油元売会社へも今回のシステムの供給を呼びかけて、灯油型燃料電池システムの普及を図る。