【池原照雄の単眼複眼】トヨタ、今期も手厚い株主還元へ

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過去4期で加速度的な増配

トヨタ自動車が好業績を背景に株主還元策を強化している。同社の株主還元は、配当の着実な拡大と継続的な自己株買いの2本柱。配当については予想を提示していないものの、今期(2008年3月期)も相当高いレベルの増配が期待できる。

07年3月期の配当は、30円増配の年120円とした。過去4期の増配は9円、20円、25円、30円であり、加速度的に積み増してきた。それでも、トヨタが目指すところからの乖離はまだ大きい。

当面の目標とする水準は「連結配当性向30%」。つまり連結純利益の3割相当を配当総額とすることである。渡辺捷昭社長が1年前の決算発表時に、この目標を明示した。

◆「配当性向30%は早期に」と渡辺社長

30円の増配とした07年3月期の配当総額は3846億円。前期より925億円(24%)も積み増しした。だが、純利益の伸びが約2割に達したこともあり、配当性向は前期を2.1ポイント上回る23.4%にとどまっている。

この点について決算発表の席上、渡辺社長は「目標とする30%を早期に達成したい」と発言した。渡辺社長のコメントは、結構鋭角的なことが多い。目標と明示したからには「早くやるよ」というメッセージは当たり前かもしれないが、慎重なトヨタの社風からは、なかなか出ないストレートさだった。

仮に今期の純利益予想(1兆6500億円)で配当性向を30%に高めると、1株あたりの配当はおよそ年150円となる。この配当だと、07年3月期と同じ30円の増配である。もっとも、このレベルで配当しても、実際の配当性向は30%には届かない可能性が高い。

◆今期配当は年150円が固い?

1兆6500億円という純利益予想は、為替レートを足元より相当な円高に見ているからで、余程の円急騰がない限り、純利益の仕上がりは上振れする。結果、年150円でも30%の配当性向には届かないということになる。逆に見れば、前期と同じ増配額でもある年150円は固いと見ていいだろう。

株主還元のもう一方の柱である自己株買いについても、渡辺社長は「需給悪化リスクはほぼ解消しているが、機動的に継続していく」と説明した。昨年11月以降には銀行等保有株式取得機構などによりトヨタ株の売出しがあり、需給悪化が懸念されたものの、これはすでに乗り越えた。

今期は2500億円の授権枠(上限)を6月下旬の株主総会に諮る。前年を500億円上回る高レベルだ。こちらからも需給の引き締めや資本効率の向上を通じて株主価値を高める強い決意が伝わってくる。

《池原照雄》

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