三菱ふそうトラック・バスの大型トラック、新型『スーパーグレート』は、ディーゼル車の排気ガス中に含まれるNOx(窒素酸化物)、PM(粒子状物質)など有害物質の排出を厳しく規制する「新長期排出ガス規制」をクリアする環境対応モデルだ。
ディーゼル車の排ガスレベルを下げるための方法として、三菱ふそうが選択したのは尿素SCR方式だ。SCRとは選択還元触媒(Selective Catalytic Reduction)の略称。
排ガス中に噴霧された「AdBlue」とよばれる尿素水が高温下でアンモニア(NH3)に変化、そのアンモニアをNOxと反応させることで、有害物質のなかでも処理が厄介なNOxを無害な窒素(N2)、水(H2O)に還元するというもの。
「尿素SCRはAdBlueを消費しますが、エンジン側で3%ほど燃費向上を果たしています。AdBlueのコストは燃費向上分で相殺され、ランニングコストは従来のエンジンと同等です。燃費が悪化しやすいDPF方式にくらべ、ユーザーはコスト増なしに新長期規制対応車を運行できるのです。運行距離が100万キロを大きく超える大型トラックには尿素SCRが向いていると思います」(尿素SCR開発担当・片渕雅之氏)
尿素SCRの噴射システムは、ボッシュ製の汎用品で構成される。AdBlueの貯蔵タンク、ポンプモジュール、ドージングモジュール(AdBlueと空気を混合させる装置)、添加ノズル(排ガス中にAdBlueを噴霧する装置)などは日産ディーゼルの尿素SCRにも使われているもの。三菱ふそう独自の部品は、ポンプモジュールに指令を出すECUおよび制御ロジック、および尿素SCRの前後に置かれる酸化触媒などだ。