三菱自動車の新型ミニバン『デリカD:5』は、1月にアフリカを舞台に開催されたダカールラリー(通称:パリダカ)において、『パジェロ』のサポートカーとして7000kmの行程を走り切り、ポテンシャルの高さを見せた。
ダカールラリーは世界有数の過酷なクロスカントリーレイド。チーム・レプソル三菱ラリーアート・パジェロは優勝し、連勝を7に伸ばした。競技コース外を走るサポートカーと言えども、ペースはラリーカーと対して変わらず、走行条件も相当に過酷だ。
デリカD:5のステアリングを握ったラリードライバーの田口勝彦氏は、「全長7000kmあまりのうち砂漠は800km少々で、残りは舗装路。ただし舗装路といっても2000km以上は山岳路で、あちこちにポッドホール(舗装欠けの穴)が開いているという悪条件です。BMWやフォルクスワーゲンなど、他チームが本格SUVをサポートカーに使うなか、デリカD:5は決して走り負けませんでした」と、印象を語る。
デリカが受け継いできた“クロスカントリーミニバン”のDNAは、D:5でも守られているようだ。
「サスペンションは、コイルやショックアブソーバーは換えましたが、アームなどのコンポーネンツはノーマル。最初はどうなるかと思ったのですが、それで他社のカスタマイズされたSUVと同等のペースで走れたのは予想外でした。トラクションもあるし、直進安定性もいい。スタックも、パジェロが停止してしまったときに一緒に停車したときの1回だけでした」(田口氏)
旧型デリカスペースギアがRWDベースのAWDだったのに対し、D:5はFWDベース。本格的なクロカン性能については旧型より後退すると思われたが、実際には向上を果たしたようだ。