フォルクスワーゲンの新型『ゴルフGT TSI』の1.4リットルTSIツインチャージャーエンジンは、その名が示すように、二つの過給器を装備するチャージドエンジンだ。小さいエンジンを過給することで、内燃機関のエネルギー効率をより高めるという欧州のトレンドに沿ったエンジンだ。
直噴ガソリンの1.4リットルFSIエンジン(80ps)をベースに、排気エネルギーを使用するターボと、エンジンの回転を利用する機械式スーパーチャージャーを直列配置した、ツインチャージャーシステムを装備。
最高出力はノーマルの2倍以上に相当する170ps(125kW)/6000rpm、最大トルクも2倍近い24.5kgm(240Nm)/1500-4750rpmを実現している。公称スペックは本国仕様と同一だが、圧縮比が10.0から9.7に落とされるなど、日本向けのチューンがなされている。組み合わされるトランスミッションはフォルクスワーゲンお得意の自動MT「DSG」だ。
動力性能は2.0リットル直噴ガソリン+6速ATの旧「GT」に比べ、大幅に向上している。欧州仕様の同等グレード同士で比べると、0-100km/h加速に2.0リットルFSIが9.5秒かかるのに対し、1.4リットルTSIは7.7秒。また、オペル『アストラスポーツ』2.0リットル自動MTの8.2秒、『マツダ3』(日本名:マツダ『アクセラ』)2.0リットル5MTの9.0秒など、他社のライバルと比べてもかなりの俊足である。
性能的にはまず不満の出ないであろう新ゴルフGT TSI。絶対的な排気量の縮小へのユーザーの反応はいかがなものだろうか。「欧州ではもともと排気量信仰がそれほど強くないためか、かなりスムーズに浸透しました。日本でどのように受け止められるかは未知数ですが、ドイツらしい機械的な機構ということで、興味を持っていただけるのではないかと思う」と、フォルクスワーゲングループジャパン関係者は意気込みを見せていた。