新型日産『スカイライン』(11月20日発表)が搭載する先端デバイスの代表格が、四輪アクティブステア(4WAS)だろう。シャシー制御システム開発グループの大池充氏は、このセッティングに、相当の期間をかけたという。
「最初、前後輪とも目いっぱい操舵していたのですが、クルマにとって理想的な挙動を前提にすると、ドライバーの違和感がすごかった。その違和感を消そうとすると、4WASを装備する意味がないくらいまで作動量を小さくすることになってしまう」
「そこでさまざまな作動パターンを試し、4WASの動きをドライバーが違和感でなく、クルマのインフォメーションとして感じる領域はどのようなものかを探りました。実車では、4WASの効果を出しつつ、ダイナミックパフォーマンスの良さを強調してドライバーに伝える動きに仕上げてあります」
この種のアクティブ制御ステアリングは、ともすると、誰がどのように運転してもクルマが同じような挙動をしてしまい、つまらなさを感じさせることになりかねない。スカイラインの4WASは膨大な走行実験を通じてドライバーの“走りの意思”を読み取る機能、プログラムを洗練させ、安全性とドライビングプレジャーを両立することに成功したという。